安祥寺山南東麓にある。吉祥山と号し、高野山真言宗。仁明天皇の女御藤原順子が建立、開基は恵運。
〈京都・山城寺院神社大事典〉
開創は嘉祥元年(八四八)(「一代要記」ほか)、仁寿元年(八五一)(貞観一三年「安祥寺伽藍縁起資材帳」東寺文書)、仁寿二年(濫觴記)、仁寿年中(貞観元年四月一八日「太政官符」類聚三代格)などの諸説がある。「文徳実録」斉衡二年(八五五)六月一日条に「詔、以安祥寺預於定額、施稲一千束、以充灯油」とみえ、定額寺となったが、翌年一〇月二一日条には「以山城国宇治郡粟田山施入安祥寺」とある。施入された
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
京都市山科(やましな)区御陵(みささぎ)平林町にある高野山(こうやさん)真言宗の寺。「あんじょうじ」ともよぶ。吉祥山と号す。848年(嘉祥1)淳和(じゅんな)太后の寿算を祝うため創建したもので、建立本願主は仁明(にんみょう)天皇の皇后藤原順子であり、入唐(にっとう)僧恵運(えうん)を開基とする。11世宗意(1074―1148)のころは寺運大いに興隆し、安祥寺流をおこして事相(じそう)(密教の行法(ぎょうぼう)上の作法面)において小野三流の随一寺院となり、法を授け伝えた。しかし、戦国時代に兵乱にあい、また豊臣(とよとみ)秀吉の命に従わなかったため禄(ろく)を没収されて衰え、さらに明治の廃仏棄釈により、堂塔は荒廃し、寺宝は散逸した。現在、寺宝には本尊十一面観音、五智如来(ごちにょらい)(国の重要文化財)、地蔵菩薩(じぞうぼさつ)がある。
[野村全宏]
京都市山科区にある高野山真言宗の寺。山号は吉祥山。俗に高野堂(こうやどう)。848年(嘉祥1),仁明天皇の女御の藤原順子の所願により,入唐僧の恵運が創建。はじめ安祥寺山の山上と山下に伽藍が整備されたが,上寺は早く廃絶し,現地の下寺のみが法灯を伝えて今日に残る。855年(斉衡2)定額寺指定,856年寺領粟田山の施入など,朝廷や公家の厚い保護が続き,平安時代に栄えた。中世から真言小野三流の随一,世に安祥寺派といわれ,門跡寺院になる。だが,応仁の乱の兵火にかかって荒廃し,近世に復興して寺観をややととのえた。木像の五智如来座像5軀は,創建当初の貞観仏とされて重要文化財。安祥寺山中に上寺の遺跡も残る。
執筆者:藤井 学
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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