情報・システム研究機構(読み)じょうほうしすてむけんきゅうきこう

日本大百科全書(ニッポニカ)「情報・システム研究機構」の解説

情報・システム研究機構
じょうほうしすてむけんきゅうきこう

国立大学法人法に基づき2004年(平成16)に発足した大学共同利用機関法人の一つ。英語名はResearch Organization of Information and Systems(略称ROIS)。生命地球、環境、社会など多領域分野を情報、システムという観点からとらえ、大規模なデータ(ビッグデータ)の蓄積、データベース構築などの基盤研究を行う。総合研究大学院大学の複合科学研究科および生命科学研究科の構成機関になっている。本部は東京港区虎ノ門に所在。

 傘下に四つの研究所を抱える。実験、観察などから、ビッグデータを蓄積する「国立極地研究所」(東京都立川市)、「国立遺伝学研究所」(静岡県三島市)、情報データ処理、データ解析方法を担う「国立情報学研究所」(東京都千代田区)、「統計数理研究所」(東京都立川市)がある。2016年には、4研究所の横の連携を強化するため「データサイエンス共同利用基盤施設」を設置した。このなかには、ライフサイエンス統合データベースセンター、人文学オープンデータ共同利用センターなど文理の六つのセンターがある。

 国立極地研究所は、地球温暖化が議論されるなか、地球規模の気候変動の鍵(かぎ)を握る南極、北極に観測基地をもち、極地での研究、観測などを担う。南極ドームふじ基地では、深さ3000メートルに及ぶ氷床を掘削し、アイスコア(氷柱)を採取。72万年分の大気から気温変動、二酸化炭素量の増加などを解明し、世界的に注目される。北極海の海氷の減少、極地で見られるオーロラ観測を通じた磁気圏・電離層研究など多分野で国際協力を進める。

 国立遺伝学研究所は、生命の設計図であるゲノムに書き込まれた遺伝情報と、内外の相互作用である複雑なシステムを、発生、分化、進化・生物多様性、ゲノム情報などの視点から解明を進める。また、データベースなどの構築を進めている。

 国立情報学研究所は、情報学という新しい学問分野での新たな価値創成を目ざし2000年に設立された。人工知能(AI)、ビッグデータ、すべてのものをネットでつなげるIoT(モノのインターネット)、情報セキュリティなど、今もっともホットな分野の研究を推進している。全国850を超える大学や研究機関などを高速回線で結び、大学間の連携強化を支援する「SINET(サイネット)」(Science information NETwork)を構築している。2016年4月からは100Gbpsの高速回線の「SINET5」の本格運用を始めた。

 統計数理研究所は、生命、環境、社会、経済などあらゆる分野で蓄積されるデータをもとに、合理的な推論を導き出す仕組みを研究している。予測、不確実性のモデリング、リスクの解析などを通じて、複雑化した社会、科学技術などの問題解決を図る。データを分析するデータサイエンティストなどの養成も担っている。

[玉村 治 2018年7月20日]

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百科事典マイペディア「情報・システム研究機構」の解説

情報・システム研究機構【じょうほうシステムけんきゅうきこう】

大学における学術研究の発展などに資するために設置された大学共同利用機関が2004年4月に法人化されたのに伴って,新たに四つ発足した大学共同利用機関法人の一つ。略称ROIS。文部科学省所管の国立極地研究所国立情報学研究所統計数理研究所国立遺伝学研究所の四つの研究機関のほか,4研究機関の融合研究の促進を目的とした新領域融合研究センターが設置されている。各研究機関が互いに連携して,生命,地球,環境,社会などに関わる複雑な問題を情報とシステムの観点でとらえ,従来の学問領域のにとらわれずに研究をすることで生命と地球に関するさまざまな問題を解決するのが目的。総合研究大学院大学の構成機関として大学院生に対する教育機関としての役割も担っている。初代機構長,堀田凱樹(よしき)。本部事務局は東京都港区。

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