デジタル大辞泉
「愛発山」の意味・読み・例文・類語
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あらち‐やま【愛発山】
- 福井県敦賀市にある山。古代、北側に愛発関が置かれた。歌枕。七里半越。愛発越。
- [初出の実例]「八田の野の浅茅色づく有乳山(あらちやま)峰の沫雪寒く降るらし」(出典:万葉集(8C後)一〇・二三三一)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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愛発山
あらちやま
越前敦賀と近江との国境付近から北方疋田辺りまでの山塊を総称したものとされ、諸書により有乳・荒血・荒道・荒茅・阿良知などと記される。山中を西近江路が通り、古代の三関の一、愛発関が設けられていた。「万葉集」巻一〇に「詠黄葉一首」として、
<資料は省略されています>
とある。交通の要衝として軍記物にしばしば登場し、「義経記」巻七(愛発山の事)に、
<資料は省略されています>
とみえ、続けて女神がこの山中で出産した時「産のあら血をこぼさせ給ひけるによりて、あら血の山とは申し候へ」という地名由来を記す。「源平盛衰記」巻二八(源氏追討使事)の平家軍勢下向の様子を述べたなかにも「海津を打過ぎて、荒乳の中山に懸つて」とある。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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愛発山 (あらちやま)
歌枕。福井県敦賀市南部の山。有乳山とも記す。《万葉集》巻十に〈詠黄葉〉として〈八田の野の浅茅色づく有乳山峯の沫雪寒く降るらし〉がある。以降,詠歌は多い。主にもみじ,雪が題材となる。北陸道の入口で,愛発関(あらちのせき)が置かれたので,軍記物にたびたび描かれた。《義経記》の巻七には〈愛発山の事〉があり,義経主従が奥羽への途中に通ったことを記し,名義について,加賀白山の女神がこの山で出産し,あら血がこぼれたので〈あらち山〉というとする。
執筆者:奥村 恒哉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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愛発山
あらちやま
福井・滋賀県境付近にあったとされる山。有乳山、荒血山、荒乳山とも書く。山中を七里半越(西近江(にしおうみ)路)が通っていた。畿内(きない)から湖北の愛発山を越えると、全国屈指の多雪地帯となるので、中央の都人にとっては非常に重苦しく感じられたのであろう。そのため、この山での感慨をおりに触れて詠んだ歌が『万葉集』巻10に「八田(やた)の野の浅茅(あさじ)色付(づ)く愛発山峰(みね)の沫雪(あわゆき)寒く降るらし」と残されている。また『義経(ぎけい)記』『太平記』にもしばしば登場する。福井県敦賀(つるが)市南部の旧愛発村と、滋賀県高島市マキノ町小荒路(こあらじ)との間の山塊と考えられる。
[印牧邦雄]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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