通常の論理が知性の普遍妥当性をもつと想定されるのに対し、児童などの思考には自分に都合のよい論理だけに着目し、自己弁護、相手の説得を目的として強引な論理を展開することがある。それは思考と感情とが未分化で、主体の欲求を満足させるような目標が先に定立され、個々の判断はその結論に導くように進行するからだ、といわれている。形式論理と概念的推理では、一般から特殊への演繹(えんえき)か、特殊から一般を導く帰納のいずれかによって進められるが、感情論理では、特殊から特殊へと飛躍するので、知性だけではなかなかついてゆけない。
最初、フランスの心理学者リボーが命名し、のちにはウェルナーが融合的思考、またドイツの心理学者シュテルンが転導推理とよんだが、最近は「心理の論理」psycho-logicと造語した人もあり、マス・コミュニケーションの世界でもかなり使われている。
[吉田正昭]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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