懸守(読み)かけまもり

百科事典マイペディアの解説

懸守【かけまもり】

首にかける守袋。平安中期ころから神仏の護符を入れた袋の両端を紐(ひも)で縛り胸にかけたが,次第に錦をはった装身具風なものになった。愛敬(あいきょう)守は花嫁の衿(えり)にかけて夫婦和合の護符とする。

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世界大百科事典 第2版の解説

かけまもり【懸守】

神仏の護符を入れて身につける守袋。通常,筒形の容器の外側を錦の裂(きれ)でつつみ,その両端に紐をつけて胸前に下がるように作る。魔よけや災厄よけのため,神聖なものや神秘的な威力のあるものを身につける習慣は世界的に広く行われている。とくにこれを首にかけるという形式は,他の場所につけるよりもいっそうそのものを尊び,これに対する強い信頼の心を表していると考えられる。護符以外のものでも,とくに貴重なものや丁重に取り扱う必要のあるものを持ち運ぶとき,たとえば貴重な書類や遺骨などは日本では古くから首にかけて歩く習慣があった。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

懸守
かけまもり

神仏の御札(おふだ)などを首からかけて身の御守りとする。その守り袋をいう。キリスト教では十字架や聖像などを首にかけている風はよくみられるが、わが国では神社仏閣で出している御札がおもなもので、身の安全を守るため、安産のため、災厄を免れるためなど目的はいろいろあった。一例として、女性がもっていた懸守の例をあげてみよう。国内に仏教が行き渡って、女性の月水を穢(けがれ)と称して非常に忌み嫌う思想があった。その結果として女性にもまた周囲の人々にもさまざまなタブーができて、日常の生活が複雑になるにしたがってそのタブーが煩わしくなってくる。こんな際に寺社はその宗教を背景としてタブーの解説をし、その解決法として月水除(よ)けの御札を発行し、それさえ身につけていれば、従来タブーとされていた行為を免れると説いた。つまり、火をたいても、水をくんでも差し支えないというのである。女性はそれで解放されるのだから、進んで御守りを受け、小さな袋に入れて身の守りとして首にかけていた。寺院から出るものには血盆経(けつぼんきょう)などが印刷されていたので、安産の御守りを兼ねているものが多かったようである。この風習は明治時代に入ってからも続いていた。[丸山久子]

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精選版 日本国語大辞典の解説

かけ‐まもり【懸守】

〘名〙
① 錦の布でつくった筒形の袋に、紐をつけて胸に懸ける守袋。この形の守は平安時代から見られ、婦人が用いた。
俳諧・ゆめみ草(1656)春「小桜につく短冊やかけ守り〈秀高息女〉」
② サメやエイなどの類の卵。四角な半透明の殻に包まれたもの。

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世界大百科事典内の懸守の言及

【御守】より

…災難を逃れるために身につけるもの。社寺で出す護符,御札等を守袋等に入れた懸守(かけまもり)と子どもの産着(うぶぎ)の背中に色糸の縫飾をする背守(せまもり)がある。懸守の遺品には四天王寺の平安時代のものがある。…

【装身具】より

…女性ではことに懐紙をたたんだ畳紙(たとうがみ)やが装身具を兼ねた重要な必需品であった。このほか女性の外出・旅行に懸守(かけまもり)を首から下げることが流行した。神仏の護符を筒形の器に入れたもので,錦で包み金銀の飾も施された。…

※「懸守」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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