戸島村(読み)としまむら

日本歴史地名大系 「戸島村」の解説

戸島村
としまむら

[現在地名]向原町戸島

さか村の西北、可愛えの川支流で北流する戸島川流域に集落がある。北は上小原かみおばら(現甲田町)、南は長田ながた村、西は小山おやま(現吉田町)に接する。「芸藩通志」に「広廿町、袤三十三町余、東北の間は平田にて其余は山連り、一川村中を通じ、小原村に入る、当村上小原とも旱傷を患う」とある。村内八東戸やとうどは日本海側と瀬戸内海側との平地での分水嶺で、泣分なきわかれの名がある。

和名抄」記載の高田郡豊島としま郷の地で、中世までは豊島の字を用いた。嘉保二年(一〇九五)八月一五日付の高田郡司藤原頼成解(新出厳島文書)に「豊島郷拾町」とみえ、他の高田郡六ヵ郷の地と同様、安芸国衙官人藤原氏に伝領され、平安時代末期には厳島神社の神主職をもつ佐伯景弘の相伝私領とされた。南北朝期には毛利氏の所領吉田よしだ庄に含まれていたらしく、永和二年(一三七六)五月の毛利元春自筆事書案(毛利家文書)には「安芸国吉田庄四郷申者、吉田郷・麻原郷・豊島郷・竹原郷是也、此内吉田郷・麻原郷二ケ郷者地頭職也、豊島郷・竹原郷二ケ郷者領家職也」とある。


戸島村
としまむら

[現在地名]熊本市戸島町

天保一三年(一八四二)の本庄手永手鑑では、戸島村は戸島山の北に位置する北向きたむきと、南に位置する日向ひむきとに分けて記載され、庄屋も別である。北向は東は上益城かみましき郡沼山津手永の曲手まがて(現菊池郡菊陽町)、西は長嶺ながみね村、南は日向、北は小山おやま村である。日向は西は長嶺村、南は上益城郡沼山津手永の馬水まみず(現益城町)などである。文和二年(一三五三)一〇月二一日の足利尊氏御教書案(詫摩文書)に「肥後国六ケ庄内小山村地頭職・同戸嶋永峯南村」とみえ、早岐秀政の本知行が安堵されている。

現高を記す慶長八年(一六〇三)検地帳では戸島村は田はなく、畑山畑一〇二町四反九畝余・居屋敷二町一反九畝余、分米五六六石一斗余、家数五七、男六六(うち年寄一五・倅三)、女六二(うち年寄五・娘一五)、馬二五・牛二八である。


戸島村
としまむら

[現在地名]気高町上光かみみつ

下光元しもみつもと村の南、光元谷中央部の山麓に位置する。南は西分にしぶ村、東は馬場ばば村。「因幡志」は枝郷としてハザマ(狭間)をあげる。中世は光元保のうち。明徳五年(一三九四)七月一日弾正忠長氏は京都南禅寺慈聖院に同保「下村内戸島村」を寄進した。ただし長氏の子孫が当地において違乱を起こした場合は、長氏が譲り与えた大杉おおすぎ村・用木もちぎ村の二ヵ村を一円寺家の知行とするよう申添えている(「弾正忠長氏寄進状」前田家所蔵文書)。藩政期の拝領高は一五〇石余、本免は五ツ一分。


戸島村
としまむら

[現在地名]安濃町戸島

きようヶ峰(八一九・三メートル)東麓の台地にあり、安濃川を隔てて東の荒木あらき村に対する。北谷きただに川右岸の小高部に集落がある。文禄検地帳を転記したと思われる伊勢国中御検地高帳に「豊嶋上野」と現れる。元禄郷帳には「戸嶋村」、「宗国史」には「戸嶋旧作豊嶋」とある。江戸時代を通じて津藩領。寛延(一七四八―五一)頃の戸数一〇二、ほかに郷士四、人口四七九、馬一二、牛一八。神祠に八幡・天神、寺院に西善さいぜん寺・長徳ちようとく寺・光明こうみよう寺があった(宗国史)


戸島村
としまむら

[現在地名]城崎町戸島

むすぶ村の北、円山まるやま川下流右岸に位置する。鎌倉時代は下鶴井しもつるい庄に含まれたとみられる。江戸時代の領主の変遷は湯島ゆしま村に同じ。寛永一六年(一六三九)の知高帳に村名がみえ、高一七二石余。正保(一六四四―四八)頃成立の国絵図では高一六〇石余。延享元年(一七四四)村明細帳(戸島区有文書)によると、延宝五年(一六七七)豊岡藩による地詰があり高二〇一石余、ただしうち七石余は無地高、残高一九四石余の反別は二〇町七反余。


戸島村
としまむら

[現在地名]津山市戸島

東は下田邑しもたのむら村、南は神戸じんご村に接し、西西条さいさいじよう郡に属する。立石家由緒書上(立石文書)によれば、慶長八年(一六〇三)森忠政の津山入封にあたり、立石家の先祖は「戸嶋村之内局笠」などを案内している。元禄一一年(一六九八)以後も津山藩領。正保郷帳では田方二六七石余・畑方五二石余、元禄一〇年の美作国郡村高辻帳では四五七石余、うち改出高一〇七石余・開高三〇石余。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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