津山市(読み)ツヤマシ

デジタル大辞泉 「津山市」の意味・読み・例文・類語

つやま‐し【津山市】

津山

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「津山市」の解説

津山市
つやまし

面積:一八五・六四平方キロ

県北部の旧美作国の中心にあたり、古代から美作地方の政治・経済・交通の中心地。吉井川水系によって形成された津山盆地の中央に立地する。東西に平野部が連なり、北は丘陵・原野地帯から中国山地の南縁に沿い、南は吉備高原に接する。東は勝田かつた勝北しようぼく町・勝央しようおう町、南は久米くめ柵原やなはら町・中央ちゆうおう町、西は久米郡久米町苫田とまた鏡野かがみの町、北は苫田郡加茂かも町。江戸時代の津山城下を中心に形成され、旧城下地域とその周辺部は官公庁・商業・住宅・文教地域で、その周囲に農村が広がる。近年、周辺部の丘陵地帯に内陸工業団地が形成されつつある。

「森家先代実録」に「慶長九甲辰年春 鶴山ヲ津山と御改、築城之儀定り」とあり、慶長九年(一六〇四)森忠政が鶴山つるやま八幡宮のあった所を城地と定め、津山と改名したという。

〔原始・古代〕

中国山地中央部では旧石器時代の遺跡が発見されているが、東西に続く盆地帯に位置する市内では、天神原てんじんばら遺跡などで石器の出土はみられるものの、明確な遺跡は確認されていない。縄文時代になると、各地の弥生時代遺跡などから少数の遺物が出土する例が増加しており、この時代に生活の舞台として開かれていったことはうかがわれるが、定着した生活の跡を示す遺跡はまだ発見されていない。弥生時代になると、前期中葉は天神原遺跡、前期後葉は京免きようめん遺跡などにみられ、ようやく生活の跡を示す遺跡が広がっていったことをうかがわせる。弥生時代中期から後期に至ると、みや川の河岸地帯をはじめ、市内の大半の丘陵地帯に集落遺跡が展開する。この時代の文化は、美作東部地域に分布圏を広げている文化に属し、備前・備中地域などの遺跡と比較して柱状片刃石斧・偏平片刃石斧・磨製石包丁などを豊富に使用していた。この文化は使用していた土器からみて、東に隣接する播磨地域との交流があったことを示している。この時代の遺跡からは多数の竪穴住居跡・倉庫跡・貯蔵穴などが発見されているほか、各地で埋葬遺構が検出されている。ことに下道山げどうやま遺跡・上原うえはら遺跡などでは密集したおびただしい数の土壙墓群が検出された。

古墳時代になると、美作地域のなかで最も大きい平野面積を占める市内には優勢な古墳をはじめ、大小多数の古墳群が残される。初期の古墳として注目されている日上天王山ひかみてんのうやま古墳・田邑丸山たのむらまるやま古墳、美作地方最大の規模を誇る胴塚どうづか古墳を中心とした美和山みわやま古墳群などの大型古墳、多数の古墳の群集によって構成されていることで著名な佐良山さらやま古墳群など、いずれもこの地域を代表する古墳である。

津山市
つやまし

2005年2月28日:津山市が勝田郡勝北町、苫田郡加茂町阿波村、久米郡久米町を編入
【勝北町】岡山県:勝田郡
【阿波村】岡山県:苫田郡
【加茂町】岡山県:苫田郡
【津山市】岡山県
【久米町】岡山県:久米郡

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「津山市」の意味・わかりやすい解説

津山〔市〕
つやま

岡山県北東部,吉井川上流域にあり,中国山地南斜面から津山盆地に広がる市。北部と東部は鳥取県に接する。 1929年市制。 1941年東苫田村,佐良山村,1954年田邑村,一宮村,高田村,高倉村,神庭村,高野村,広野村,大崎村,河辺村,滝尾村の 10村,1955年勝北町と勝央町の一部,2005年加茂町,阿波村,勝北町,久米町をそれぞれ編入。中心市街地の津山には弥生時代の住居遺跡があり,早くから出雲街道,吉井川の高瀬舟交通など水陸の要地として繁栄。和銅6 (713) 年美作国府,国分寺が置かれ,美作国の中心となった。慶長8 (1603) 年森忠政が鶴山城を築き,以来城下町として発展。美濃から職人を集めて商工業の発展に努めた。美作地方の政治,経済,文化,交通の中心地で,撚紙バッグ,和紙などの伝統工業のほか繊維,電気機械器具,空調設備,食品などの工場が立地。院庄には工業団地がある。加茂,勝北の丘陵地では和牛を産し,阿波では林業が盛んである。美和山古墳群,津山城跡,院庄館跡,箕作阮甫旧宅,三成古墳といった国指定史跡や木造随神像 (国指定重要文化財) を所蔵する高野神社などがある。八幡神社の田熊の舞台は国の重要無形民俗文化財。久米中部の本谷のトラフダケ自生地は国の天然記念物の指定を受けている。北部は氷ノ山後山那岐山国定公園に属する。中国縦貫自動車道が通るほか,JR因美線,津山線,姫新線が走る。面積 506.33km2。人口 9万9937(2020)。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android