戻駕(読み)モドリカゴ

デジタル大辞泉 「戻駕」の意味・読み・例文・類語

もどりかご【戻駕】[曲名]

歌舞伎舞踊常磐津ときわず本名題戻駕色相肩もどりかごいろにあいかた」。初世桜田治助作詞、初世鳥羽屋里長作曲。天明8年(1788)江戸中村座初演。「せき」「双面ふたおもて」とともに常磐津の三名曲。

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改訂新版 世界大百科事典 「戻駕」の意味・わかりやすい解説

戻駕 (もどりかご)

歌舞伎舞踊。常磐津。本名題《戻駕色相肩(もどりかごいろにあいかた)》。1788年(天明8)11月江戸中村座の顔見世《唐相撲花江戸方》の四建目で,初世中村仲蔵,4世松本幸四郎,初世松本米三郎により初演。作詞初世桜田治助。作曲初世鳥羽屋里長。振付2世西川扇蔵ほか。京の紫野で,島原の廓からの戻駕に禿(かむろ)を乗せた浪花の次郎作実は石川五右衛門と,東の与四郎実は真柴久吉が,互いに浪花と江戸の自慢を始め,禿と廓話(くるわばなし)をし,実名の見顕し(みあらわし)となる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「戻駕」の意味・わかりやすい解説

戻駕
もどりかご

歌舞伎(かぶき)舞踊劇。常磐津(ときわず)。本名題(ほんなだい)『戻駕色相肩(いろにあいかた)』。1788年(天明8)11月、江戸・中村座初演の顔見世狂言『唐相撲花江戸方(とうずもうはなのえどかた)』の四立目(よたてめ)舞踊として、初世中村仲蔵(なかぞう)の次郎作、4世松本幸四郎の与四郎、初世松本米三郎(よねさぶろう)の禿(かむろ)たよりによって初演。作詞は初世桜田治助(じすけ)、作曲は初世鳥羽屋里長(とばやりちょう)、振付けは2世西川扇蔵(せんぞう)ほか。島原から禿を乗せた戻りの駕籠(かご)かき浪花の次郎作・吾妻の与四郎が互いに生国自慢の物語から廓(くるわ)話になり、最後は次郎作実は石川五右衛門(ごえもん)、与四郎実は真柴久吉という本性を現して立回りになる。眼目吉原・島原・新町という三都の廓の場景を描いた振で、丹前(たんぜん)六方や仕方話、武張った次郎作が女の身ぶりを誇張して踊る悪身(わるみ)の踊りなど、変化に富む。常磐津舞踊の代表作で、天明(てんめい)調といわれる、のどかな気分が楽しめる。

[松井俊諭]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「戻駕」の意味・わかりやすい解説

戻駕
もどりかご

歌舞伎舞踊曲。常磐津。本名題『戻駕色相肩 (もどりかごいろにあいかた) 』。1世桜田治助作詞,鳥羽屋里長作曲。2世西川扇蔵ほか振付。天明8 (1788) 年中村座で,1世中村仲蔵と4世松本幸四郎により『唐相撲花江戸方 (とうずもうはなのえどかた) 』の1番目4立目として初演。場面は春の京都紫野。駕籠 (かご) かきに身をやつした吾妻の与四郎 (実は真柴久吉) ,浪花の次郎作 (実は石川五右衛門) とその駕籠に乗った島原の禿 (かむろ) たよりの3人がそれぞれ語る大坂・江戸・島原3都の郭話が眼目。幕切れに正体を現して太閤記の世界を描く。趣向元禄歌舞伎の名作『けいせい浅間嶽』を原拠とする。浪花の次郎作には1世中村仲蔵のクセ振が残る。これを改作した『女戻駕』もある。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「戻駕」の解説

戻駕
(通称)
もどりかご

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
戻駕色相肩 など
初演
天明8.11(江戸・中村座)

戻駕
もどりかご

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
初演
寛延1.1(江戸・中村座)

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世界大百科事典(旧版)内の戻駕の言及

【常磐津節】より

…この期の代表的作者には壕越二三治(ほりこしにそうじ),金井三笑らがいる。天明~寛政(1781‐1801)ころの2世文字太夫時代は華やかで幻想的な時代変化舞踊劇の大作《関の扉(せきのと)》をはじめ,《双面(ふたおもて)》《古山姥(ふるやまんば)》,顔見世常磐津舞踊劇の型を破ったとされる変化物ではない《戻駕(もどりかご)》,祝儀物の《子宝三番叟》等がある。その後の2世兼太夫時代は《夕霧》等がある。…

※「戻駕」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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