所払(読み)ところばらい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「所払」の意味・わかりやすい解説

所払
ところばらい

江戸時代自由刑の一つ。一種追放刑で,最も軽いものの一つである。人別帳記載なく寄留した者,または寄留させた者,妻に離縁状を与えずに離縁して再婚した者などに科した。在方では居村 (いむら) 払,江戸では居町払で,武士,庶民ともに適用された。これに処せられた債権者は,みずからはその債権行為ができず,また近親債権を譲渡し,これに出訴させることはできたが,闕所 (けっしょ) が付加された場合は債権そのものが消滅した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「所払」の意味・わかりやすい解説

所払
ところばらい

江戸時代の追放刑の一つ。罪人に対し、居住していた地域(居村・居町)へ立ち入りすることを禁止した刑。年貢未納などの場合を除いては財産没収(闕所(けっしょ))が付加されることもなく、追放刑のなかではもっとも軽かった。この刑に該当する罪は、関八州(かんはっしゅう)外で発砲した場合、人別(にんべつ)帳に記載せず寄留したりさせたりした場合、妻に離縁状を与えずに再婚した場合、などであった。

大石 学]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

山川 日本史小辞典 改訂新版 「所払」の解説

所払
ところばらい

江戸幕府の追放刑の一つ。当初は追払と称したが,1721年(享保6)に改称。追放刑のなかでは最も軽いもので,居住する町村から追放し,そこへの立ち入りを禁止した。京都の洛中払,堺の堺払が相当する。適用範囲も広く,「公事方御定書」にも,多くの犯罪があげられている。原則として,付加刑としての闕所(けっしょ)はないが,利欲にかかわる犯罪の場合は田畑・家屋敷が,年貢未進の場合は家財も闕所とされた。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

今日のキーワード

南海トラフ臨時情報

東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...

南海トラフ臨時情報の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android