ぶし‐どう ‥ダウ【武士道】
※甲陽軍鑑(17C初)品二九「本より武士道不案内なれば」
[2] (原題Bushido, The Soul of Japan) 思想論。新渡戸
(にとべ)稲造著。明治三二年(
一八九九)刊。アメリカ滞在中、
英文で出版。日本人の
道徳観、
精神の背景としての武士道精神を
解明、紹介した書。
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デジタル大辞泉
「武士道」の意味・読み・例文・類語
ぶしどう【武士道】[書名]
《Bushido, the Soul of Japan》新渡戸稲造による英文の著作。明治32年(1899)に米国で出版され、翌年日本でも刊行。日本の魂としての武士道について論じた文化論で、英語圏以外でも翻訳版が出版されるなど注目を集めた。
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武士道【ぶしどう】
広く武士の心組み,生き方を意味する場合と,狭く心組み,生き方の一つの立場を意味して,士道に対する武士道として用いることもある。江戸時代の武士階級に特有の倫理体系。武士社会の成立とともに〈もののふの道〉〈兵の習〉といった道徳律が発生,中世を通じて徐々に変容した。江戸時代に入って,儒学が身分制度を理論化するとともに,武士は支配階級にふさわしい精神・行動が要求されるようになり,戦乱を欠いた固定的社会のなかで独自の観念論としての武士道が確立された。主君への一方的忠誠,絶対的服従を基本理念とし,尚武,廉恥,剛健などを内容とする思想体系になった。葉隠は狭義の武士道の極致。
→関連項目剣道|兵の道
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武士道
ぶしどう
近世以降の武士階級独特の倫理。新渡戸稲造(にとべいなぞう)の英文著作「武士道」に代表されるように,武士の道徳そのものをさす言葉として一般化するのは近代に入ってからである。近世ではまだ道徳論の段階であり,戦国期以来の武士の道徳を儒教の論理で裏づけようとする士道論と,その武的な余習を継承しようとする武士道論があった。前者の代表が山鹿素行(やまがそこう)「山鹿語類」の「士道篇」であり,君臣ともに儒教倫理にもとづく振舞いを是とした。後者の代表が山本常朝(つねとも)「葉隠(はがくれ)」で,「武士道とは死ぬ事と見付たり」の言葉が象徴するように,主従関係を中心に善悪・正不正をこえた捨身を強調した。しかし,根底では通じるものがあった。
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武士道
ぶしどう
武士の守るべき道,武家の道徳
平安時代以降荘園を母体に発生した武士集団の中で育った実践道徳。鎌倉時代に「弓矢とる身の習い」といわれ,主君に対する献身と部下への慈愛を骨子に,武勇・廉恥・質素などの徳目を生んだ。江戸時代に朱子学の大義名分論と結びつき武士道として理論づけられ,君臣父子の道・仁義の精神として規範化された。のち武士特有の道をこえて農工商の師表たる人間一般の道となり,実践的性格が失われ形式化した。武士道を説いた文献としては『葉隠』,山鹿素行の『士道』『武教小学』などが有名。
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ぶしどう【武士道】
広く武士の心組み,生き方を意味する場合と,狭く心組み,生き方の一つの立場を意味して,士道に対する武士道として用いられる場合とがある。 武士が王朝貴族の生き方に対して武士独自の生き方を自覚したとき,〈弓矢とる身の習(ならい)〉という言葉が生まれた。〈弓矢とる身の習〉は〈大将軍の前にては,親死に子討たるれども顧みず弥(いや)が上に死に重なって戦ふ〉(古活字本《保元物語》)ことで,主君への残るところのない献身である。
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武士道
ぶしどう
武士階級における道徳体系。武士社会の発生とともに御恩と奉公の契約から成る主従関係と,血縁的,地縁的関係とが結合した倫理的規範が成立し,「もののふの道」「武者の習」と呼ばれるようになった。江戸時代に入り,朱子学を中心とする儒教の影響を強く受け体系化され,独自の観念論としての武士道が確立された。それは主君に対する絶対的服従と忠誠を基本的理念としながら,農工商三民に対する治者としての精神,行動を強調するものであった。
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世界大百科事典内の武士道の言及
【武道】より
…その意味では,日本の武術,武芸,武技などといわれてきた伝統的な運動文化を,近代になって〈武道〉と呼ぶようになったともいえる。しかし〈武道〉には,歴史的に〈武士道〉という倫理思想的な意味もあり,その意味では,茶道,華道,書道などと同様,日本の伝統的な文化として概念づけることができる。
[武道の語義とその変遷]
武道の語は,武と道が熟して一語となったもので,〈武の道〉あるいは〈武という道〉であり,行為や動作を含む技能を意味する語と道が組み合わされている。…
※「武士道」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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