武士道(読み)ぶしどう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

武士道
ぶしどう

武士階級における道徳体系。武士社会の発生とともに御恩奉公の契約から成る主従関係と,血縁的,地縁的関係とが結合した倫理的規範が成立し,「もののふの道」「武者の習」と呼ばれるようになった。江戸時代に入り,朱子学を中心とする儒教の影響を強く受け体系化され,独自の観念論としての武士道が確立された。それは主君に対する絶対的服従忠誠を基本的理念としながら,農工商三民に対する治者としての精神,行動を強調するものであった。

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デジタル大辞泉の解説

ぶし‐どう〔‐ダウ〕【武士道】

日本の武士階級に発達した道徳。鎌倉時代から発達し、江戸時代儒学思想と結合して完成した。忠誠・勇敢・犠牲・信義・廉恥・礼節・名誉・質素・情愛などを尊重した。士道
[補説]書名別項。→武士道

ぶしどう【武士道】[書名]

Bushido, the Soul of Japan新渡戸稲造による英文の著作。明治32年(1899)に米国で出版され、翌年日本でも刊行。日本の魂としての武士道について論じた文化論で、英語圏以外でも翻訳版が出版されるなど注目を集めた。

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百科事典マイペディアの解説

武士道【ぶしどう】

広く武士心組み生き方を意味する場合と,狭く心組み,生き方の一つの立場を意味して,士道に対する武士道として用いることもある。江戸時代の武士階級に特有の倫理体系。武士社会の成立とともに〈もののふの道〉〈兵の習〉といった道徳律が発生,中世を通じて徐々に変容した。江戸時代に入って,儒学が身分制度を理論化するとともに,武士は支配階級にふさわしい精神・行動が要求されるようになり,戦乱を欠いた固定的社会のなかで独自の観念論としての武士道が確立された。主君への一方的忠誠,絶対的服従を基本理念とし,尚武,廉恥,剛健などを内容とする思想体系になった。葉隠は狭義の武士道の極致。
→関連項目剣道兵の道

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世界大百科事典 第2版の解説

ぶしどう【武士道】

広く武士の心組み,生き方を意味する場合と,狭く心組み,生き方の一つの立場を意味して,士道に対する武士道として用いられる場合とがある。 武士が王朝貴族の生き方に対して武士独自の生き方を自覚したとき,〈弓矢とる身の習(ならい)〉という言葉が生まれた。〈弓矢とる身の習〉は〈大将軍の前にては,親死に子討たるれども顧みず弥(いや)が上に死に重なって戦ふ〉(古活字本《保元物語》)ことで,主君への残るところのない献身である。

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大辞林 第三版の解説

ぶしどう【武士道】

日本において武士の間に形成された道徳。鎌倉時代に始まり、江戸時代、儒教、特に朱子学に裏づけされつつ発展し、明治維新後国民道徳として強調された。主君に対する絶対的忠節を重視し、犠牲・礼儀・質素・倹約・尚武などが求められた。士道。

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精選版 日本国語大辞典の解説

ぶし‐どう ‥ダウ【武士道】

[1] 〘名〙 中世以降、日本の武士階級の間に発達した独得の倫理。禅宗や儒教に裏づけられて江戸時代に大成した。「葉隠」のように、善悪・正不正を問わないで死を賭して主君に奉公する考え方と、山鹿素行のように、主君・家来ともに儒教倫理に基礎をおいて振舞う士道の考え方とに分かれるが、狭義には前者をさすことがある。忠孝・尚武・信義・節操・廉恥・礼儀などを重んじる。
甲陽軍鑑(17C初)品二九「本より武士道不案内なれば」
[2] (原題Bushido, The Soul of Japan) 思想論。新渡戸(にとべ)稲造著。明治三二年(一八九九)刊。アメリカ滞在中、英文で出版。日本人の道徳観、精神の背景としての武士道精神を解明、紹介した書。

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世界大百科事典内の武士道の言及

【武道】より

…その意味では,日本の武術,武芸,武技などといわれてきた伝統的な運動文化を,近代になって〈武道〉と呼ぶようになったともいえる。しかし〈武道〉には,歴史的に〈武士道〉という倫理思想的な意味もあり,その意味では,茶道,華道,書道などと同様,日本の伝統的な文化として概念づけることができる。
[武道の語義とその変遷]
 武道の語は,武と道が熟して一語となったもので,〈武の道〉あるいは〈武という道〉であり,行為や動作を含む技能を意味する語と道が組み合わされている。…

※「武士道」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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