手継ぎ証文(読み)テツギショウモン

デジタル大辞泉 「手継ぎ証文」の意味・読み・例文・類語

てつぎ‐しょうもん【手継ぎ証文】

平安末期から中世にかけて行われた、土地所有権相伝を証明する書類土地譲与・売却に際し、以前の譲り状売券年代順に貼り連ねて新所有者に渡したもの。手継ぎ券文。

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精選版 日本国語大辞典 「手継ぎ証文」の意味・読み・例文・類語

てつぎ‐しょうもん【手継証文】

  1. 〘 名詞 〙てつぎもんじょ(手継文書)
    1. [初出の実例]「且手継証文等弐通、副進之状如件」(出典:高野山文書‐弘安九年(1286)閏一二月一九日・成縁加地子借券)

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改訂新版 世界大百科事典 「手継ぎ証文」の意味・わかりやすい解説

手継証文 (てつぎしょうもん)

古代・中世の土地財産に関する文書。9世紀以降,荘園1荘から洛中の敷地1筆にいたるまで,土地の所有権は売券・譲状寄進状など,権利移転のときに新・旧所有者間で授受された文書によって保証された。これらを支証または証文と称した。所有者が代わるたびに,その土地の既存の証文類がひとつながりになって,手から手へ渡されたので手継という。その形態は,最も古い証文を奥にして,手前へ新しい証文を継ぎ足し,その継目には改ざんを防ぐために花押が据えられた。これを所有することが,その土地を領有する権利主張の基本となるところから,本券ともいわれた。これによってその土地の相伝次第を確認することができる。最も長大な例は,1349年(正平4・貞和5)3月に東寺領となった洛中左京塩小路大宮敷地手継券文であり,1125年(天治2)以来225年間にわたる38通の証文が継がれて,《東寺百合文書》のなかに伝わっている。
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百科事典マイペディア 「手継ぎ証文」の意味・わかりやすい解説

手継証文【てつぎしょうもん】

古文書一種。中世を通じ,主として土地財産の売買譲与などの際,その土地財産とともに,その権利継承の由来を語る,これまでの譲状(ゆずりじょう)や売券(ばいけん)などの一切の旧文書を添える必要があった。こうした一連の権利関係文書の集積を手継証文といい,手から手へ渡すの意で手継と呼ぶ。巻子(かんす)にしたものが多い。

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旺文社日本史事典 三訂版 「手継ぎ証文」の解説

手継証文
てつぎしょうもん

平安末期から中世を通じて使用された,田地・家屋の権利伝承を証明する文書
不動産の権利の移転の際,その財産が旧所有者のもとに相伝された由来を立証することが必要となり,以前の譲状や売券を一括して旧所有者から新所有者に手渡した。

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世界大百科事典(旧版)内の手継ぎ証文の言及

【古文書】より

…戸籍も同様で,たとえば〈庚午年籍〉は永久保存されるべきものであった。(b)の場合としては,土地財産の売買・譲与・寄進などに当たって授受される手継証文(手継券文ともいう)がある。これは土地財産権の存在を証明するものとして,その移転にともなって作成された売券譲状寄進状をつぎつぎ集積していったものである。…

【売券】より

…それを具体的に立証するために,その対象物が売主の所有に至るまでの,過去の売券や譲状(ゆずりじよう)などの証文を一巻の巻物として,売券に添えて買主に渡すことが,売買における必須の手続であった。この巻物を当時〈手継証文(てつぎしようもん)〉〈本公験(ほんくげん)〉などと称した。中世では火事・盗難・戦乱などにより,手継証文などがしばしば紛失したので,売主はその事情を明記した文書を作り,これに在地の役人や有力者の証判を受けた。…

※「手継ぎ証文」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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