世界最高水準の研究や教育を目ざし、イノベーションを創出できるとして国から指定された国立大学。2017年(平成29)の改正国立大学法人法(平成28年法律第38号)施行で指定国立大学法人制度ができ、文部科学大臣が2017年から指定を始めた。2019年(令和1)9月時点で東京大学、京都大学、東北大学、東京工業大学、名古屋大学、大阪大学、一橋大学が指定されている。指定大学は日本国内の競争の枠組みを越え、高次元の目標を設定し、経済・社会の発展に貢献する研究成果を発信し、世界の有力大学と伍(ご)していくことを求められる。
国立大学法人の申請に基づき、外国人を含む外部有識者で構成する国立大学法人評価委員会が「研究力」「社会との連携」「国際協働」の3領域について国内最高水準であることを条件に審査し、指定する。指定を受けると、国立大学法人に対する規制を緩和して特例が認められ、指定大学が産学連携などに基づいて出資して子会社をつくり、外部資金を取り込み、研究成果の活用を促進できる。また国際的に卓越した人材を確保するため、高額の報酬・給与を支給できる。研究水準の向上のため、文部科学大臣の認可を得て、大学の土地などを第三者に貸し付けることが可能となるほか、寄付金などの自己収入を収益性の高い金融商品などで運用できる。
[矢野 武 2021年1月21日]
世界最高水準の教育研究活動の展開が相当程度見込まれる国立大学法人を申請に基づき文部科学大臣が指定し,さまざまな規制緩和による特例措置を講じて支援する制度をいう。2014年(平成26)に政府の産業競争力会議(日本)において提言され,文部科学省の有識者会議による検討を経て,2016年の国立大学法人法改正により制度が設けられた。指定を受ける国立大学法人には,国際的な研究・人材育成および知の協創の拠点として,高等教育全体の改革を牽引し,わが国の成長とイノベーション創出に寄与することが期待されている。申請の要件として,「研究力」「社会との連携」「国際協働」の各領域においてすでに国内トップレベルに位置する国立大学法人であることが求められ,申請時に提出される指定国立大学法人としての構想が国立大学法人評価委員会(日本)により審査される。同委員会の意見を聴いて文部科学大臣は指定を行う。指定国立大学法人の中期目標の策定・変更に当たっては,世界最高水準の外国の大学の業務運営の状況を踏まえなければならない。
指定を受けた場合には,当該大学の研究成果の事業化に取り組む企業への出資が可能になるほか,役職員の報酬・給与等に特例が認められ,世界的な研究者を高給で招聘することもできるようになる。2016年11月に最初の公募が開始され,国立大学法人評価委員会の審査を経て2017年6月に東京大学,京都大学,東北大学の3法人が文部科学大臣による最初の指定を受けた。
著者: 寺倉憲一
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報
(2017-7-6)
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