指宿温泉(読み)いぶすきおんせん

日本歴史地名大系 「指宿温泉」の解説

指宿温泉
いぶすきおんせん

指宿市東部に分布する温泉の総称。九州では大分県別府べつぷ、宮崎県・鹿児島県にまたがる霧島と並ぶ温泉郷。古くから湯豊ゆぶ宿の名で知られる。伝承によると、天智天皇が大隅から海路薩摩路を望み、「人の宿遠し」といったのに対し、供奉の者が「湯豊宿の地近くにあり」と指し示し、これがもとで指宿となったという(指宿市誌)十町の光明禅じつちようのこうみようぜん寺にある方柱板碑に天文一二年(一五四三)銘とともに「湯豊宿」とみえる。市内各所に温泉が湧出し、「三国名勝図会」に「凡そ指宿の地は、田野の間湯気甚多し」とあるが、現在の中心は南北に走る国道二二六号より東側の東西約二キロ・南北約四キロの海岸線沿いである。日量一二万トンの湯量があり、旧偕楽かいらく園跡にある菊池幽芳の歌碑の「畑掘れば出湯畑に湧き、磯掘れば磯にも湧き出ずる指宿の里」の表現もあながち誇張ではない。なお偕楽園は長井ながい温泉にあった近代の指宿温泉郷最古の温泉旅館で、大正―昭和前期によく知られたが、第二次世界大戦後に廃され、現在跡地は砂むし温泉砂楽さらくの広場となっている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「指宿温泉」の意味・わかりやすい解説

指宿温泉
いぶすきおんせん

鹿児島県薩摩(さつま)半島南東部、指宿市にある温泉。海岸から平野部にかけて湧出(ゆうしゅつ)する温泉の総称で、温泉区は摺(すり)ヶ浜、湊(みなと)、湯之里(ゆのさと)、弥次(やじ)ヶ湯、柳田(やなぎだ)、二月田(にがつでん)などに区分される。泉質は塩化物泉・含鉄泉。泉源が多く湯量も豊富で、ホテル、旅館のほか一般家庭にも配湯されている。第二次世界大戦前は湯治温泉であったが、1955年(昭和30)以降、近代的なホテルが建ち並び急速に発展した。摺ヶ浜の天然の砂蒸しぶろは有名。国民休暇村やヘルスセンターなどの施設も整っている。池田湖、開聞(かいもん)岳、長崎鼻などの観光地に近く、薩摩半島南部の観光の拠点で、県外からの観光客が多い。

[平岡昭利]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「指宿温泉」の意味・わかりやすい解説

指宿温泉
いぶすきおんせん

鹿児島県南部,指宿市の東部,薩摩半島南東端の海岸から平野部にかけて湧出する温泉の総称。泉質は食塩泉,炭酸鉄泉。泉温は 85~100℃と高温。泉源が多く,湯量は非常に豊富。神経痛,リウマチ,胃腸病などに効能があり,療養機能をもっているが,観光温泉地として急速に発展した。摺ヶ浜の砂蒸しは有名。開聞岳長崎鼻池田湖などを近くに控え,観光客が集中する。霧島錦江湾国立公園に属する。

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デジタル大辞泉プラス 「指宿温泉」の解説

指宿温泉

鹿児島県指宿市(いぶすきし)、薩摩半島南東部にある温泉。摺ヶ浜温泉、二月田温泉など海岸から平野部にかけて広がる温泉群の総称。砂むし温泉が有名。

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事典・日本の観光資源 「指宿温泉」の解説

指宿温泉

(鹿児島県指宿市)
かごしま よかとこ100選 四季の旅指定の観光名所。

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