指輪物語(読み)ユビワモノガタリ(英語表記)The Lord of the Rings

デジタル大辞泉 「指輪物語」の意味・読み・例文・類語

ゆびわものがたり【指輪物語】

原題The Lord of the Ringsトールキンによる長編小説。1936年から1949年にかけて執筆され、「旅の仲間」「二つの塔」「王の帰還」の全3巻の形で1954年から1956年にかけて刊行された。架空の世界「中つ国」を舞台に、魔法指輪をめぐる小人魔法使い、人間たちの冒険友情を描く。前日譚に「ホビットの冒険」がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「指輪物語」の意味・わかりやすい解説

指輪物語
ゆびわものがたり
The Lord of the Rings

イギリスの中世語学者で文学者トールキン作の長編物語。『指輪の契り』The Fellowship of the Ring、『二つの塔』The Two Towers、『王の帰還』The Return of the Kingの三部からなり、1937年から1949年にかけて執筆、1954年から1955年に出版された。前作ホビットThe Hobbit(1937/邦訳名『ホビットの冒険』)で、ホビット族(人類の遠縁にあたる、小柄で穏和な種族ビルボが手に入れた魔法の指輪を、一族の若者フロドが受け継ぐ。だが、これが恐るべき力を秘めていることがわかり、フロドは仲間とともに、指輪を火の山に棄(す)てるための旅に出る。魔法使いのガンダルフやエルフ、また人間などに助けられ、悪の勢力との間に長い戦いが続くが、かろうじて目的は遂げられる。中世の数々の物語を生かしたこの壮大なファンタジーは、1960年代になって若者たちの間で爆発的な人気を得た。2001年ピーター・ジャクソンPeter Jackson(1961― )の監督により三部作の第一部が映画化邦題『ロード・オブ・ザ・リング』)、その後も同監督により2002年『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』、2003年『同/王の帰還』と三部作すべてが映画化された。『王の帰還』ではアカデミー最優秀作品賞を含む11部門を受賞、最多部門受賞作のタイ記録であった。

[村上淑郎]

『瀬田貞二訳『指輪物語』全9巻(評論社文庫)』

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改訂新版 世界大百科事典 「指輪物語」の意味・わかりやすい解説

指輪物語 (ゆびわものがたり)
The Lord of the Rings

イギリスの中世学者J.R.R.トールキンの代表作でファンタジー文学の傑作の一つ。1936年から書きすすめられ,《旅の仲間》《二つの塔》(ともに1954),《王の帰還》(1955)の3部からなる。恐るべき闇の力を秘めた黄金の指輪を手に入れた小人族ホビットの一人フロドとその仲間たちが,魔法使いや妖精,巨木の精などに助けられながら,冥王サウロンが率いる悪鬼や怪鳥やその他の暗き力の軍勢と戦いながら,この指輪を消滅させるための旅をする話。北欧の古歌謡集エッダジークフリート伝説などの素材を生かしたこの長編は,英米のみならず日本でも若者の間に非常な人気を呼んでいる。作者自身は創作のおもな動機を〈長い話で腕試しをしたいという物語作家の欲求である〉と語っている。
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デジタル大辞泉プラス 「指輪物語」の解説

指輪物語

①英国の作家J・R・R・トールキンの長編ファンタジー(1954-1956)。原題《The Lord of the Rings》。『旅の仲間』『二つの塔』『王の帰還』の三巻で構成される。「中つ国」を舞台にした、ホビット族のフロドと仲間たちとの冒険と種族を超えた友情を描く。国際幻想文学大賞受賞(1957)。2001~2003年、ピーター・ジャクソン監督で三部作を実写版で映画化。
②1978年製作のアメリカ映画。原題《The Lord of the Rings》。①を原作とする長編アニメーション。監督:ラルフ・バクシ。

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世界大百科事典(旧版)内の指輪物語の言及

【トールキン】より

…大学では同僚のC.S.ルイスらと親交を結んだ。彼の最初の小説《ホビットの冒険》(1937)もホビット族の小人3人を主人公にしたものであるが,彼の最大傑作は60歳を過ぎて発表した,妖精や小人の活躍する三部作《指輪物語》(1954‐55)である。中世文学の伝統を今に生かしたこの大長編は,ルネサンス以来はじめての本格的ロマンスといわれ,その豊かな幻想性,社会へのペシミズムと個人に対する希望的態度という基調のせいで,60年代以降の英米の若者たちの間で非常な人気を博した。…

※「指輪物語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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