語根(読み)ごこん(英語表記)root

翻訳|root

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「語根」の解説

語根
ごこん
root

単語を分析していって抽出される,その単意味の中核部(語義的意義)を担う最小単位。具体的抽出は分析の観点により異なる。たとえば mi-ru「見る」,mi-seru「見せる」において,共時論的には mi-が語根(前者では同時に語幹),-se-が接辞,-ruが語尾と分析されるが,語源的にはさらに me「目」(共時論的には分析不可能),ma-mo-ru「目守る=じっと見つめる」,meri(助動詞の「めり」)などを比較して を立てることができる。この場合,子音だけの単位は話し手の意識に反することなどを理由に を立てて語根母音の交替を認める立場もある。また「語根」は史的な分析に限定し,共時論では「語基」とする人もある。同一語根を含む単語群を「単語家族」といい,これが比較研究に用いられる。たとえば,kur-o-si「黒し」,kur-a-si「暗し」,kur-u「暮る」などから を抽出し,これをアイヌ語の単語家族の と比較することがある。インド=ヨーロッパ語族から一例をあげると,インド=ヨーロッパ語根 *gen-「生む,生まれる」は語幹母音の相違によって *gen-,*gon-,*g-という三つの形で現れ(→母音交替),英語では *gen-から gender,generationが,*gon-から epigone(子孫〈のちに生まれた者〉)が,*g-(母音ゼロ)から nation,native,natureなどが派生した。

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百科事典マイペディア「語根」の解説

語根【ごこん】

単語基本をなす中心の要素。接辞語尾などの文法的要素を除いた最小の意味的単位。例,love,unlovableにおけるlov-。膠着語のように定まった語根をとり出しにくい屈折語では,本来種々の動詞語幹の代表形式として分析によって抽象的に設定された要素である。→語幹

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精選版 日本国語大辞典「語根」の解説

ご‐こん【語根】

〘名〙 (root Wurzel の訳語) 語構成要素の一つ。単語の意味の基体をなす、最小の音韻論的単位。またはその組合わせ。学者によって、語基ともいう。語形交替における不変化部分、通時的語形変化における共通部分など。〔語法指南(1889)〕

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デジタル大辞泉「語根」の解説

ご‐こん【語根】

語の構成要素の一。単語の意味の基本となる部分で、それ以上分解不可能な最小の単位。「ほのか」「ほのめく」「ほのぼの」の「ほの」の

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世界大百科事典 第2版「語根」の解説

ごこん【語根 root】

言語学の用語。ふつう,同起源の複数の単語が一言語内にある場合に,そのすべてに共通な音形部分をさす。意味的に見ると,単語の音形がなんらかの意味を有するいくつかの部分に分けられる場合に,その単語の意味の本質的部分に対応する音形部分ということになる。たとえば,okiru(起きる)とokosu(起こす)は,少なくとも歴史的には関係があり,共通部分としてok‐(あるいは,1モーラを分離しない考え方に立てば,o‐)が抽出されるが,それが語根であるといえる。

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世界大百科事典内の語根の言及

【根】より

…維管束植物の軸性器官で地下に向かって伸びていく部分。植物体を大地に固定させると同時に,地下から水や養分を吸収する。茎と異なる点は,屈地性(背光性)をもち,先端には根冠があり,内生的に分岐し,内皮にかこまれた放射中心柱があり,表面に毛や鱗片などの付属物をつけることがないなどである。 根の形状は,地上部の性質に比べると,比較的変化が乏しい。これは,多分,地下は環境として比較的安定しているために,植物の進化の過程で,地上部のように多様な変化を経ることがなかったためであろう。…

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