四字熟語を知る辞典「換骨奪胎」の解説
換骨奪胎
[活用] ―する。
[使用例] しかし、先の捨児の一句同様、漢詩を巧に換骨奪胎された、入念のお作と拝見しました[中山義秀*芭蕉庵桃青|1970]
[使用例] トライオンの話では、これは超古代のチャイナ式という食事を現代風に換骨奪胎したものだという[倉橋由美子*アマノン国往還記|1986]
[使用例] でもね、摩神さんが言ったことにも一理あると思ってるんだよ。大叔母たちの作った芸術には、たしかにオリジナリティというものはない。過去の換骨奪胎ばかりと言ってもいいだろう[太田忠司*予告探偵 西郷家の謎|2005]
[解説] 骨とか、胎とか、解剖学的な文字が出てくるので、少し戸惑います。もともとは道教(中国の民間信仰)で使われたことばで、身も心も取り替えて、新しく生まれ変わることです。
それが、やがて、昔の作品を踏まえて、新しく創作することを指すようになりました。和歌の本歌取りや、今で言うパロディー(有名な作品を踏まえて、笑いをとるもの)も含まれます。時には、単なる「焼き直し」のことも言います。
両親が頭をなでながら「幸せになれよ」と言ってくれた思い出を詠んだ歌が、古典の「万葉集」にあります。これが明治時代、設定はほぼそのままに、「思いいずれば」という小学唱歌になりました。
あるいは、同じ「万葉集」に、「海は死ぬのか、山は死ぬのか」と詠んだ虚無的な歌があります。このフレーズを踏まえて、一九八〇年、さだまさしさんは「
どちらも古典を再生した、いい意味での「換骨奪胎」の例です。
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