摂動(惑星)(読み)せつどう

百科事典マイペディア 「摂動(惑星)」の意味・わかりやすい解説

摂動(惑星)【せつどう】

1個の惑星Aが太陽の引力だけを受けて運動するときその軌道ケプラーの法則により定まる楕円になるが,Aに他の惑星Bの引力が作用するとAの軌道は正確な楕円ではなくなる。このとき楕円軌道からのずれを惑星Bによる摂動という。力学的に太陽とBの引力のもとでのAの運動を計算しようとすると,これは三体問題となって厳密には解けないが,Aに対するBの引力は太陽引力に比べはるかに小さいので,太陽引力だけを考えてAの楕円軌道を求め,その楕円の要素がBの引力(摂動力)によってどう変化するかを計算すれば,近似的にAの軌道を定めることができる。この方法を摂動論という。摂動による楕円要素の変化は,周期的なもの(周期摂動)と時間的に限りなく大きくなるもの(永年摂動)がある。海王星冥王星の存在は天王星の摂動の解析から理論的に予言された。なお摂動輪量子力学ゼーマン効果シュタルク効果等の説明,粒子放出・吸収・散乱等の確率の計算にも用いられる。
→関連項目永年摂動天体力学分点

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