操り人形芝居の略で,手で操作する人形を意味するが,狭義には文楽人形を指す。〈あや〉は糸のことで,本来は糸操り(マリオネット)の意味と思われる。平城京跡から糸操りの人形が出土している事実を見ても古代から行われていたと想像できるが,日本の人形劇の主流が傀儡(くぐつ)の手遣(てづか)い人形であったため,これをも含めて操りと呼ぶようになった。したがって,人形自体に仕掛けして自動的に動く〈からくり人形〉以外のものを〈操り人形〉と総称し,かつ浄瑠璃に合わせて演じる人形芝居を〈操り浄瑠璃〉と呼んだ。江戸中期以後は義太夫節による三人遣いの文楽様式がもっぱら行われるようになったため,操りは文楽を意味する語となり,歌舞伎の丸本物(義太夫狂言)を〈操り狂言〉と呼ぶようになって,本来の糸操りはかえって〈南京操り〉として区別された。しかし歌舞伎舞踊の《操三番叟》のように,糸操りを意味する用例も皆無ではない。
→からくり →人形浄瑠璃
執筆者:山田 庄一
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一般的には物や人を巧妙に操作することをいうが、とくに人形芝居に関する用語が多い。操狂言(あやつりきょうげん)、操芝居、操浄瑠璃(じょうるり)などで、それらを単に操りということもあった。操座といえば人形芝居を興行する一座、または小屋(こや)(劇場)をさした。その人形を操人形といったり、操る人を操方(あるいは操師)、舞台を操舞台、大道具類を操道具というように、操興行の事物に関する関連語を多く派生させている。からくり興行またはからくり応用の舞台を操機関(あやつりからくり)といった。糸操りの分野では操板(手板)、操糸の用例がある。操人形の動作ぶりを歌舞伎(かぶき)の所作事(しょさごと)にうつしたものに『操(あやつり)三番(さんば)』がある。なお人形芝居以外では、操身上(しんしょう)、操相場などの用語がある。
[西角井正大]
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