救う(読み)スクウ

デジタル大辞泉 「救う」の意味・読み・例文・類語

すく・う〔すくふ〕【救う/済う】

[動ワ五(ハ四)]《「掬う」と同語源》
危機的な状況や苦しい境遇、悪い環境などにある人に力を貸したり金品を与えたりして、そこから抜け出させる。助ける。救助する。救済する。「人命を―・う」「地球環境を―・う」
神・仏などの力によって平安な心的状態に導いたり、迷いや悩みを取り除いたりする。「信仰に―・われる」
好ましくない状態からのがれ出させ、良いほうに進むように導く。「堕落の道から生徒を―・う」
多く「救われる」の形で)悪い条件を相殺する。不安・不満などが一応解消する。「重病だが本人が明るいので―・われる」「仕事がきつい上に給料が安いのでは―・われない」
[可能]すくえる[ア下一]
[類語]助ける救い出す救助する救出する救護する助け合う・救い上げる・助け出す互助人助け救急救難助命救命救済

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「救う」の意味・読み・例文・類語

すく・うすくふ【救・済・拯】

  1. 〘 他動詞 ワ行五(ハ四) 〙
  2. 力を添えて苦痛・難儀・危険、また、精神的な苦しみなどからのがれられるようにしてやる。助ける。救助する。
    1. [初出の実例]「民を塗炭(くるしき)に拯(スクフ)ことは彼も此も一時なり」(出典:日本書紀(720)継体二一年八月(前田本訓))
    2. 「その手紙でどんなに気分的に救われたか知れなかった」(出典:月は東に(1970‐71)〈安岡章太郎〉二)
  3. 加勢する。助力する。〔英和商業新辞彙(1904)〕
  4. 悪を正す。なおす。横道にそれたものを正道にもどす。
    1. [初出の実例]「中臣の鎌子の連、人と為、忠正(たたしく)して匡済(スクフ)心有り」(出典:日本書紀(720)皇極三年正月(岩崎本訓))
  5. 物を与えて、飢えや貧困からのがれられるようにする。めぐむ。施与する。賑恤(しんじゅつ)する。
    1. [初出の実例]「徳(いきほひ)を布き、恵を施して困窮(くるしくたしなき)を振(スクフ)」(出典:日本書紀(720)仁徳六七年(前田本訓))
  6. 現世来世での罪や苦患(くげん)をのがれられるようにする。
    1. [初出の実例]「能く三千大千世界の有縁の衆生を救(スクハ)む」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)六)

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