助ける(読み)タスケル

デジタル大辞泉 「助ける」の意味・読み・例文・類語

たす・ける【助ける/扶ける/援ける/佐ける】

[動カ下一][文]たす・く[カ下二]
力を貸して、危険な状態から逃れさせる。救助する。「おぼれている子を―・ける」「命を―・ける」
経済的に困っている人などに金品を与えて苦しみ・負担を軽くする。救済する。「被災者を―・ける」
(「佐ける・輔ける・佑ける」とも書く)不十分なところを補い、物事がうまく運ぶように手助けする。助力する。補佐する。「仕事を―・ける」「家業を―・ける」
ある働きがより好ましい状態になるようにする。促進させる。促す。「成長を―・けるホルモン」「消化を―・ける」
倒れたり傾きそうになるのを支える。「子どもに―・けられて駅の階段をのぼる」
[類語](1救う救い出す救助する救出する救護する助け合う・救い上げる・助け出す互助人助け救急救難助命救命救済/(2救援する救済する救恤きゅうじゅつする援護する援助する扶助する/(3)(4ける手伝う手助けする助力する幇助ほうじょする助勢する加勢する助太刀すけだちする力添えする協力する援助する応援する支援する後押しするり立てるバックアップするフォローする力を貸す手を貸す肩を貸す促進する助長する補助する・補佐する・犬馬の労一肌脱ぐ片肌脱ぐ肩を持つ与する

す・ける【助ける】

[動カ下一][文]す・く[カ下二]手伝う。たすける。
「いつも女の―・けるのは朝晩の忙しい時だけで」〈二葉亭平凡
[類語]助ける手伝う手助けする助力する幇助ほうじょする助勢する加勢する助太刀すけだちする力添えする協力する援助する応援する支援する後押しするり立てるバックアップするフォローする力を貸す手を貸す肩を貸す補助する・補佐する・犬馬の労一肌脱ぐ片肌脱ぐ肩を持つ与する

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「助ける」の意味・読み・例文・類語

た‐す・ける【助・扶・援・佐・輔・佑】

  1. 〘 他動詞 カ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]たす・く 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙 ( 「た」は手で、手をさしのべて「すく(助)」意からという ) わきから力を添えて、保護したりして悪い状態から救う。
  2. 上位のものが保護する。庇護する。
    1. [初出の実例]「天地の 神あひうづなひ 皇御祖(すめろき)の 御霊(みたま)須気(タスケ)て」(出典万葉集(8C後)一八・四〇九四)
    2. 「とざまかうざまのうしろみまうくるただ人は、おのづからそれにもたすけられぬるを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
  3. 倒れたり傾いたりしないようにする。ささえる。
    1. [初出の実例]「天雨するが中より、余の比丘い扶(タスケ)て厠(かはや)の上に往る」(出典:小川本願経四分律平安初期点(810頃))
  4. 傷や病気の手当をする。介抱する。また、苦境などから救い出す。
    1. [初出の実例]「旅のそらにたすけ給ふべき人もなき所に、色色のやまひをして行く方空もおぼえず」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. 「山林に入ても、餓をたすけ」(出典:徒然草(1331頃)五八)
  5. 死の危険や、苦しみから救う。
    1. [初出の実例]「たすくべき草木ならねど哀(あはれ)とぞ物思ふ時の目には見えける」(出典:大和物語(947‐957頃)御巫本附載)
    2. 「六つの道四つのちまたの苦しみをいつか代りて助け果つべき〈行円〉」(出典:玉葉和歌集(1312)釈教・二六三七)
  6. 従たる立場で、主たるものを補佐する。協力する。
    1. [初出の実例]「太子を扶(タスケ)まつりて、馬(みうま)に乗(の)せまつらしめて逃(にけ)ぬ」(出典:日本書紀(720)履中即位前(図書寮本訓))
  7. ある物事や、その状態についてさらに助長する。促進する。
    1. [初出の実例]「金を簡ひて礫(れき)を去て、玉を琢(みか)きて輝りを裨(タスク)」(出典:大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点(1099)八)
    2. 「声をたすけ、曲を色どる音感あるべし」(出典:風曲集(1423頃))
  8. 家、生活あるいは国家、伝統などを盛りたてるために力を添える。ささえる。
    1. [初出の実例]「人のみかどにも、夢を信じて国をたすくるたぐひ、多う侍りけるを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)明石)
    2. 「ホンニサげいは身をたすけるほどの不仕合とやらで」(出典:安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉二)
  9. 金銭や物事を与えて、救う。援助する。
    1. [初出の実例]「少分盗て母をたすけばやと思計にて」(出典:米沢本沙石集(1283)七)

す・ける【助】

  1. 〘 他動詞 カ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]す・く 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙
  2. たすける。手伝う。手をかす。
    1. [初出の実例]「木の間よも い行き目守(まも)らひ 戦へば 我はや飢(ゑ)ぬ 島つ鳥 鵜飼が伴(とも) 今須気(スケ)に来ね」(出典:古事記(712)中・歌謡)
    2. 「どふぞ貴さま太義ながら来年一っぱい又役者になって。助(スケ)ては呉(くれ)まいか」(出典:歌舞伎年代記(1811‐15)八)
    3. 「自分は只(ただ)、それを助(ス)けるだけでいいのだといふやうな話をした」(出典:暗夜行路(1921‐37)〈志賀直哉〉二)
  3. 酒の席で、さされた杯の酒を飲めないでいる人の杯を手伝って飲む。杯のあいをする。中飲(なかのみ)をする。
    1. [初出の実例]「中のみと云事〈略〉はじめ一つきこしめし候て、二つめをすけ参らせ候也」(出典:酌之次第(1592))
  4. 費用の一部を負担する。
    1. [初出の実例]「表向の払十両程を親仁にすけさせ、跡五十両さっぱりと払を済し」(出典:滑稽本・古朽木(1780)三)
  5. 物が傾いたり、倒れたりしないように下敷を置く。物を支えるために何か下に置く。
    1. [初出の実例]「ハンダイノ ヒクイ カタニ イタヲ suqei(スケイ)〈訳〉食卓の低い方の下に板を入れよ」(出典:日葡辞書(1603‐04))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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