日本教職員組合(日教組)など教職員組合の主催する教育研究集会の略称。1947年6月結成の日教組は,教師の諸権利の確立,生活条件の向上などを目ざして闘争をつづけてきたが,米ソ冷戦の激化の下,政府の政策が転換し,〈逆コース〉といわれる風潮のなかで,教育では教育基本法体制が空洞化したと判断し,51年1月,中央委員会で〈教え子を再び戦場に送るな〉をスローガンとしてかかげ,5月の大会で生活と権利を守るたたかいと並んで,〈自主的教育確立のたたかい〉を強力に推進する方針をかかげ,組織的な研究活動の出発を約した。そして同年11月10日から3日間,第1回教育研究全国大会(1955年の第4次から〈全国大会〉を〈全国集会〉と改称)を開いた。記念講演は清水幾太郎〈平和と教育〉,大内兵衛〈独立日本の経済的基礎〉,城戸幡太郎〈日本教育の課題〉であり,これらの主題に当時の日教組の関心や課題が示されている。以後,毎年,学者や芸術家による記念講演が行われているが,集会の中心は,教科や問題領域ごとに開かれる分科会である。そこでは特定の主題による報告・討論ではなく,職場,支部(ほぼ郡市区ごとに設置),ついで都道府県教組の集会に自由に自主的に出された報告のなかから選ばれた報告が提出される。全国集会の成果は都道府県から支部へ,さらに職場へと還流され,また《日本の教育》として毎年刊行される。このような組合による自主的な教研は,国際的にも注目されており,全国集会には毎年海外からの参加者がある。
執筆者:山住 正己
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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