教誨(読み)きょうかい

精選版 日本国語大辞典 「教誨」の意味・読み・例文・類語

きょう‐かい ケウクヮイ【教誨】

〘名〙
① 教えさとすこと。
※済北集(1346頃か)一三「師也不日夜之教誨
※雑話筆記(1719‐61)上「殊に先年教誨を蒙り候以後は」 〔書経‐無逸〕
② あやまちを悔い改め、善にかえらせるために、教誨師囚人を教えさとすこと。
監獄法(明治四一年)(1908)二九条「受刑者には教誨を施す可し其他の在監者教誨を請ふときは之を許すことを得」
技術知識などを教えること。
※舎密局開講之説(1869)〈三崎嘯輔訳〉「予の教誨せんと欲する所の二学」

きょう‐け ケウ‥【教誨】

※垂髪往来(1253)三月日「但閣高才之提携、到小量之教誨(けうケ)之条」

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デジタル大辞泉 「教誨」の意味・読み・例文・類語

きょう‐かい〔ケウクワイ〕【教×誨】

[名](スル)
教えさとすこと。
刑務所少年院などで、収容者に対して徳性育成目的として教育すること。
[類語]教訓

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改訂新版 世界大百科事典 「教誨」の意味・わかりやすい解説

教誨 (きょうかい)

刑務所,拘置所など刑事施設に収容されている者の,宗教的要求を満たし,心情を安定させ,規範意識を覚醒させるために,民間篤志家である宗教家が施設内で行う宗教活動。説教礼拝,法要その他の宗教行事に集団で参加する形態と,個別的に宗教的慰謝を受ける形態とがある。

 大日本帝国憲法下の日本では,〈受刑者ニハ教誨ヲ施ス可シ〉と規定する監獄法29条により,刑務所職員として教誨師を配置し,強制的に宗教教誨を行っていた。第2次大戦後は,信教の自由を保障し,国およびその機関の宗教的活動を禁じている日本国憲法の下で,宗教教誨にわたらぬ一般教誨のみが同条により許され,宗教教誨はすべて民間宗教家の手にゆだねられた。しかし,同時に,被収容者の自由な選択に基づく宗教的要求を満たすことは,信教の自由の保障内容であり,施設側の義務でもあると考えられる。また,1957年に国際連合の経済社会理事会が採択した被拘禁者処遇最低基準規則41条も,事情が許せば常勤制をとることを含めて,宗教教誨の便宜を図ることを要求している。ただし,収容目的や施設の規律秩序に支障を生じる形態での宗教教誨は許されないであろう。

 宗教教誨活動は財団法人全国教誨師連盟の下に組織化されて行われている。
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普及版 字通 「教誨」の読み・字形・画数・意味

【教誨】きようかい(けうくわい)

おしえさとす。〔孟子、告子下〕ふるにも亦た多し。予(われ)之れが誨を(いさぎよ)しとせざるは、是れ亦た之れを誨するのみ。

字通「教」の項目を見る

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