散位寮(読み)さんいりょう

精選版 日本国語大辞典 「散位寮」の意味・読み・例文・類語

さんい‐りょう サンヰレウ【散位寮】

〘名〙 令制における官司の一つ。式部省に属し、内外文武官散位に関することをつかさどり、諸国朝集使上日を判じた役所。頭(かみ)、助(すけ)、允(じょう)、大・少属(さかん)各一人などの職員がいたが、寛平八年(八九六)に廃され、その職掌は式部省に吸収された。さんい
※大般若波羅蜜多経巻二六七跋‐神亀五年(728)九月二三日「神亀五年歳次戊辰九月廿三日書生散位寮散位少初位下張上福」

とね‐の‐つかさ【散位寮】

〘名〙 令制で、式部省の被官の役所。内外文武官の散位に関することをつかさどり、また、諸国の朝集使の上日を判じた役所。→さんいりょう。〔官職秘鈔(1200頃か)(古事類苑・官位一三)〕

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デジタル大辞泉 「散位寮」の意味・読み・例文・類語

さんい‐りょう〔サンヰレウ〕【散位寮】

律令制で、式部省に属し、文武官の散位に関することをつかさどった役所。

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改訂新版 世界大百科事典 「散位寮」の意味・わかりやすい解説

散位寮 (さんいりょう)

日本古代の令制官司の一つ。〈さんにりょう〉ともいう。大宝令によって設置され,式部省の管轄下にあり,官人は頭・助・大属・少属各1人,史生6人,使部20人,直丁2人。職掌は在京散位のものを登録した名帳と朝集(諸国の散位の出勤日数など)を判することのみである。在京の散位はこの寮に属し,諸司要請によって派遣される。この寮に該当する官司は唐官制にはなく,日本独自の官司である。最初,文武散位を対象としたが,後には武散位は兵部省の所管となった。散位には最初定員はなかったが,散位の増加にともない,758年(天平宝字2)400人を定額とし,以外を額外散位として,続労銭(ぞくろうせん)を納めさせて,官人としての労をつづけさせた。896年(寛平8)の行政整理で式部省に合併された。
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百科事典マイペディア 「散位寮」の意味・わかりやすい解説

散位寮【さんいりょう】

式部省所属の令制官司。唐にはない日本独自の官司で〈さんにりょう〉とも読む。職掌は在京の散位(官職がなく位階のみを有する者)を登録した名帳と,国府に勤める散位の出勤日数の点検を担当。在京の散位は当寮に出仕した。職員は頭(かみ)・助(すけ)・大属(だいさかん)・少属各1人,史生(ししょう)6人(809年2人減)ほか。文武散位を対象としたが,のちに武散位は兵部(ひょうぶ)省に移る。896年式部省に合併。 →大宝律令養老律令

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世界大百科事典(旧版)内の散位寮の言及

【散位寮】より

…日本古代の令制官司の一つ。〈さんにりょう〉ともいう。大宝令によって設置され,式部省の管轄下にあり,官人は頭・助・大属・少属各1人,史生6人,使部20人,直丁2人。職掌は在京の散位のものを登録した名帳と朝集(諸国の散位の出勤日数など)を判することのみである。在京の散位はこの寮に属し,諸司の要請によって派遣される。この寮に該当する官司は唐官制にはなく,日本独自の官司である。最初,文武散位を対象としたが,後には武散位は兵部省の所管となった。…

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