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数量経済史 すうりょうけいざいしquantitative economic history

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

数量経済史
すうりょうけいざいし
quantitative economic history

従来の経済史研究に対する方法論的な反省から,1950年代末のアメリカで導入された方法。計量経済史 econometric history,新しい経済史 new economic history ,クリオメトリックス cliometricsとも呼ばれる。計量分析の手法を大胆に取入れ,さらに経済学の理論的・実証的方法を適用することによって,旧来の記述史料に基づく歴史上の定説を完全に破壊したり,修正的な結論を導き出すことに成功している。たとえば,アメリカの奴隷制度は南北戦争以前から衰退の過程にあったとかアメリカの経済発展に鉄道建設は不可欠の要因であったとかいう定説に対して,偶像破壊的な結論を提示した。また日本においても,明治維新をめぐる議論において,政治的要因から江戸時代と明治以降の社会とを区別する従来からの不連続説に対して,経済的には徳川社会が明治以降の社会を準備したという,むしろ両社会の連続性を強調しうる証拠が提示されている。

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世界大百科事典 第2版の解説

すうりょうけいざいし【数量経済史 quantitative economic history】

経済史は昔から統計を利用してきたが,1960年前後から起こった〈数量経済史〉は,主として統計数量に依拠し,経済理論や社会会計の枠組みを用いながら経済史を再構成するという点で従来の経済史とは異なる。このような経済史はアメリカでは〈新しい経済史new economic history〉と呼ばれ,クリオメトリックスcliometricsと称されることもある。このうち計量経済学的方法を用いるものは,とくに計量経済史econometric historyと呼ばれる。

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世界大百科事典内の数量経済史の言及

【経済史学】より

…こうして経済史は〈純粋な,あまりに純粋な〉経済史の立場を超え,隣接諸科学との関連を深めるとともに,経済史そのものの方法の多様化を模索しつつある。すなわち,一方で,歴史事象の数量的・統計的把握,とりわけ計量経済学モデルによる検証を試みる〈新しい経済史〉(数量経済史,計量経済史)の台頭があり,他方では制度史的接近や社会史・生活史の立場,経済人類学あるいは歴史人口学的アプローチなどが存在する。さらに,世界資本主義論など,経済史研究における国際的契機の強調,とりわけ,旧植民地諸地域における〈低開発の発展〉を重視しつつ,総じて16世紀以降の各国経済史を世界市場における〈支配と従属〉の変遷史として総括し再構成しようとする従属学派ないし世界システム論も注目を集めている(従属論)。…

※「数量経済史」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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