中国、六朝(りくちょう)梁(りょう)の文人、劉勰(りゅうきょう)の著した体系的かつ総合的な中国最初の文学理論書。「ぶんしんちょうりゅう」ともいう。10巻50編。「原道」から「弁騒」の5編は文学原理論、「明詩」から「書記」の20編は文体論、「神思」から「程器」の24編は修辞の原理や方法を論じ、最後の「序志」は著作の動機を述べる。劉勰が30代、つまり六朝斉(せい)の末ごろに書かれたもので、「文心」とは文をつくるための用心であり、「雕竜」とは竜を雕(ほ)る、雕琢(ちょうたく)潤色のことである。彼は雕琢潤色に文学の基本を置き、自然に発露する美を尊重、当時の技巧のみを競う弊害を正し、経書の精神に回帰しなければならないと説いた。同時代の鍾嶸(しょうこう)の『詩品(しひん)』とともに文学理論の名著とされる。
[根岸政子]
『興膳宏訳「文心雕竜」(『世界古典文学全集25』所収・1964・筑摩書房)』▽『戸田浩暁訳『文心雕竜』(1972・明徳出版社・中国古典新書)』▽『戸田浩暁訳『新釈漢文大系64・65 文心雕竜 上下』(1974~1978・明治書院)』
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…文学の評論は曹丕の〈文を論ず〉の一篇に始まり,作家の個性が論じられた。前述の陸機の〈文の賦〉は創作活動についての思索の結果などを韻文でつづったが,劉勰(りゆうきよう)の《文心雕竜(ぶんしんちようりよう)》は50章の大作で,陸機の示唆したところを体系化し,精密に詳しく述べた。全文が四六文で書かれている。…
…漢代ごろからより重視されるようになり,六朝時代にはその技巧が極度なまでの発展をみた。6世紀初めの文学理論書《文心雕竜(ちようりよう)》は,対句の存在意義を説いて,人体が手,足,耳,目のごとく左右相称の形を生まれながらにして賦与されているように,詩文においてもごく自然に対句の表現形式が生まれてくると述べている。そこに示唆されるように,一字一音節という漢語の特色や,バランス感覚を重んずる中国人の思考法とも密接なかかわりを有する修辞技法ということができる。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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