斎部広成(読み)いんべのひろなり

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

斎部広成
いんべのひろなり

奈良時代の神官。大同3 (808) 年に従五位下。広成らの属する斎部氏は,古くから中臣氏とともに宮廷の祭儀を司り,その地位に上下はなかったが,中臣氏から出た藤原氏が次第に力を得るに従って,斎部氏は中臣氏から軽んじられるようになった。これを日頃残念に思っていた広成は,大同2 (807) 年に,たまたま平城天皇の質問があったのを機会に,『古語拾遺』 (1巻) を著述して,大いに家勢の挽回に努めた。ときに八十余歳であったという。

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デジタル大辞泉の解説

いんべ‐の‐ひろなり【斎部広成】

平安初期の廷臣。中臣氏に排斥されて斎部氏が衰えたのを嘆き、「古語拾遺」を著して、斎部氏の由来を明らかにした。生没年未詳。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

斎部広成 いんべの-ひろなり

?-? 平安時代前期の官吏。
延暦(えんりゃく)22年(803)忌部浜成らとともに忌部を斎部にあらためる。中臣(なかとみ)氏とともに朝廷の神事祭祀を担当。大同2年(807)平城(へいぜい)天皇の下問に応じて「古語拾遺」をあらわし,朝廷の祭祀における斎部氏の由緒ある役割と中臣氏の職務上の専横をうったえた。

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朝日日本歴史人物事典の解説

斎部広成

生年:生没年不詳
平安初期の官人。『古語拾遺』の選者。延暦22(803)年3月,忌部を斎部に改めている。朝廷の神事に携わってきた忌部氏が中臣氏にその地位をおびやかされ,大同1(806)年8月には幣帛使の任用をめぐって両氏の間にトラブルが起きている。『古語拾遺』は翌2年2月,平城天皇の召問に応じて広成が選進したもので,斎部氏の職能と功績を主張し,中臣氏への悲憤を吐露している。時に広成は81歳と伝える。翌大同3年11月,正六位上から従五位下に叙されたのを最後に史料には出てこない。ちなみに『古語拾遺』には『日本書紀』や『古事記』にもみられない伝承が収められ,神話や古代氏族研究の上でも貴重。一族の本拠地である橿原市忌部町には祖神を祭る天太玉命神社がある。

(瀧浪貞子)

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世界大百科事典 第2版の解説

いんべのひろなり【斎部広成】

平安初期の官人。生没年不詳。後に《古語拾遺》とよばれる1巻の上表文を平城天皇に提出した807年(大同2),〈齢,既に八十を逾(こ)ゆ〉とみずから書いているので,720年代後半の生れとみられる。位は翌年に従五位下。斎部は同族の正六位上忌部浜成らとともに803年(延暦22)に申請して忌を斎と改字したもの。【青木 和夫】

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大辞林 第三版の解説

いんべのひろなり【斎部広成】

奈良・平安前期の官人。祭祀さいしが中臣氏に集中していることの不当さを述べ、斎部氏の由緒を明らかにしようとした「古語拾遺」の撰者。生没年未詳。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

斎部広成
いんべのひろなり

生没年不詳。8世紀後半から9世紀初頭の神祇(じんぎ)官人。『古語拾遺(こごしゅうい)』の撰者(せんじゃ)。808年(大同3)11月、平城(へいぜい)天皇即位の大嘗会(だいじょうえ)に奉仕した賞として従(じゅ)五位下を授けられたこと以外、正史にはいっさいみえない。これより先、斎部氏はその職掌に関して中臣(なかとみ)氏と争い、桓武(かんむ)天皇から両氏相並んで奉仕すべき裁定を被ったが、この争論中、斎部氏は「わが家には、国史・家牒(かちょう)に漏れた種々の旧説を伝えている」と揚言したので、やがて平城天皇の召問を受けることとなり、かくてまとめられたものが『古語拾遺』である。齢(よわい)80に余る広成は情熱を傾けて旧説故事を録し、あわせて中臣氏の横暴11か条をあげ、これが是正を陳情したのであるが、結果はむなしかった。[黛 弘道]

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世界大百科事典内の斎部広成の言及

【古語拾遺】より

…平安初期に書かれた歴史書。著者は斎部広成(いんべのひろなり)。1巻。…

※「斎部広成」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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