断末魔(読み)ダンマツマ

精選版 日本国語大辞典 「断末魔」の意味・読み・例文・類語

だん‐まつま【断末魔・断末摩】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「末魔」は[梵語] marman の音訳死節、死穴と訳す。体内に特殊な末摩と呼ばれる極少部分があって、命終にはこれが分解して苦痛を生じ、死に至るという ) 仏語。臨終のこと。また、そのときの苦しみの形容に用いる。いまわ。
    1. [初出の実例]「大毗藍風之風之身のうちにふきて断末魔之苦しのびがたし」(出典:宝物集(1179頃))
    2. [その他の文献]〔倶舎論‐一〇〕

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故事成語を知る辞典 「断末魔」の解説

断末魔

苦しんで死ぬこと。

[使用例] 診察室の隣の座敷の方には、そこにも医者身内遭難者が担ぎ込まれているとみえて、怪しげな断末魔のうめきを放っていた[原民喜廃墟から|1947]

[由来] 「末魔」は、「末摩」とも書かれ、ぼんのmarmanの音写。仏教で、体の内部にあって、何かがこれに触れると死ぬという急所だと考えられていた部分のこと。「断」は、そこに何かが触れて、意識を失わせること。「しゃろん―一〇」では、「臨終の時には、多くの場合、『断末摩』の苦しみを受けることになる」と述べられています。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「断末魔」の意味・わかりやすい解説

断末魔
だんまつま

仏教では、末魔に触れて命を断つこと。末魔はサンスクリット語のマルマンmarmanの音写で、「関節、致命的な部分、傷つきやすい場所」を意味し、結局「急所」のこと。特殊な急所に触れて、末魔を断てば死に至ると考えられ、また末魔を打てば精神に異常を生ずるともいう。転じて、「まさにいまわのきわの苦しみ。息を引き取るまぎわの苦しみ」をいい、「断末魔の苦しみ」という。

[石上善應]

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