新開(読み)しんかい

精選版 日本国語大辞典 「新開」の意味・読み・例文・類語

しん‐かい【新開】

〘名〙 (「しんがい」とも)
① (━する) 荒地を新たに開墾して、田畠宅地、または道路などを造ること。また、その開墾した土地。にいばり。新開地新墾
吾妻鏡‐寛喜二年(1230)正月二六日「於武州公文所武蔵国太田庄内荒野新開、有其沙汰
※いろは字(1559)「新開(シンガイ)
家長公認もとに、荒地を開墾して私有財産とすること。のちには家族の私有財産もいう。
③ 新しくひらけた町。市街が新たに開けること。新開地。
落語殿様の廓通ひ(1890)〈禽語楼小さん〉「小川町の新開抔(など)を廻って探したが分りません」

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デジタル大辞泉 「新開」の意味・読み・例文・類語

しん‐かい【新開】

荒れ地を新しく切り開くこと。また、その土地。
土地が開発されて、市街が新しく開けること。

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改訂新版 世界大百科事典 「新開」の意味・わかりやすい解説

新開 (しんがい)

中世近世,荒野などを開墾して田畠・屋敷あるいは道などをつくること,またその開墾した土地をいう。例えば《吾妻鏡》正治元年(1199)4月27日条には,〈東国分地頭等〉に命じて〈水便荒野〉を新開せしめたとある。中世後期以降になると,家長ないし主人の公認のもとに家族員や下人たちが荒地を少しずつ開墾していったが,こうした小規模な開墾地をとくに新開と称する場合が多くなり,〈ほまち〉と同様に,彼らの小農民としての成長・自立の条件となった。そして,太閤検地や江戸初期の検地によって,すでに新開として開かれていた土地は,彼らの高請地とされた。やがて近世社会では,家族の私有財産や内密に金銭や物を蓄えることをも,〈しんがい〉というようになった。
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世界大百科事典(旧版)内の新開の言及

【干拓】より


[日本の干拓]
 東日本に湖沼干拓が多く,西日本に海面干拓が多い。湖沼干拓地は新田という地名であるが,海面干拓は旧藩領によって異なり,八代海の新地,有明海の牟田(むた),搦(からみ),籠(こもり),瀬戸内海の開作,新開などがあり,大阪湾,伊勢湾では新田という。湖沼干拓は17世紀の治水技術の発達によって,干潟八万石,飯沼,見沼,紫雲寺潟などに2000~3000haの干拓地ができた。…

【時間】より

…1398年(応永5)香取佐原井土庭住人案主吉房から弥二郎にあてた譲状のなかには,〈大橋の年神の松よりいとほまちまで川中のほまち1枚〉のほか16枚のほまちが譲与されている。〈ほまち〉というのは〈新開(しんがい)〉などと同じように余暇労働で開墾された土地である。弥二郎は吉房の庶子の一人であり,正式の譲与をうける前も,吉房の家の労務に服しながら,その余暇に乱流する川のほとりを開墾したのであろう。…

※「新開」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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