精選版 日本国語大辞典 「方違」の意味・読み・例文・類語
かた‐ちがえ‥ちがへ【方違】
かた‐ちがい‥ちがひ【方違】
- 〘 名詞 〙 ( 形動 ) 方向が違うこと。互い違いになること。食い違うこと。
- [初出の実例]「二風輪を挙げて、参差(カタチカヒに)して相ひ押せ」(出典:大日経天喜六年点(1058)四)
方位観によって凶方にあたる方角を避けようとするための呪術(じゅじゅつ)的手段。平安時代に伝来し、普及した陰陽道(おんみょうどう)の方位による吉凶説から生じた風習だといわれている。天一神(なかがみ)、八将神(はっしょうじん)、金神(こんじん)などが遊行する方角を避けるのである。この避けるべき方角を方塞(かたふたが)りという。方塞りの方角へ行くのを忌むことが方忌(かたい)みである。目的地が方塞りの方角にある場合には、方忌みのために他の方角の所で泊まり、翌日改めて方角を変えて出かける。このように方角を変えて目的地に達する手段を方違という。方違のために泊まる宿を方違所(かたたがえどころ)とよぶ。方忌みを犯した祟(たた)りを方祟(かたたた)りなどといった。どの方角が凶方かは陰陽師や民間宗教者、暦などによって教示されてきた。
[佐々木勝]
また、現在の居所よりみて、禁忌の方角で造作などが行われることによって忌みが生じた際に、他所に宿することによって、その忌みを移すことが記録にみえるが、それも方違とよばれた。諸神中もっとも有名なのは、『倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』が「奈加加美」(中神)とよぶ天一神で、天上にある16日間以外は遊行の方にあたる四方四維を犯すことを忌んだ。のち、安倍(あべ)、賀茂(かも)などの陰陽道の家の固定化とともに、著しく形式化した。
[杉本一樹]
方忌(かたいみ)のために,目的地の方角を変えていき,身にふりかかる災いをさけようとしたこと。平安初期から江戸時代まで行われた陰陽道(おんみょうどう)の禁忌・呪法。外出のたびに吉凶の方向を占い,凶方にあたる場所・方向(方塞(かたふたがり))をさけた。天一神(なかがみ)のいる方向にあたれば,前夜に1度吉方(えほう)の家に場所を移して1泊し,方向を変えて翌日目的地に出発する。凶方の日時・方位は民間の卜占(ぼくせん)者や運勢暦などによって判じられた。最も古い型は本命(生年の干支(えと))により方違をするもので,平安中期以降は天一神の遊行(ゆぎょう)方向を,平安末期からは年により忌避の方角を定める金神(こんじん)方をおもに忌避した。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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