大気中のエーロゾル(浮遊微粒子、煙霧質。エアロゾルともいう)が日射を散乱し、その一部を宇宙空間に跳ね返して、あたかも日傘のように日射を遮る現象。雨傘効果(あまがさこうか)ともいう。火山噴火により、成層圏にエーロゾルが大量に導入されたときにみられる。日傘効果は地表面温度の低下をもたらすことになるが、それはエーロゾルの働きの一面にすぎない。エーロゾルには日射を吸収する性質もあるので、地表面と大気を含めた系全体はかならずしも温度が低下するとは限らない。たとえば雪氷域は完全反射面に近いので、エーロゾルの日射吸収性が小さくても、地表面と大気を含めた系は加熱される。反対に海面は完全吸収面に近いので、エーロゾルの日射吸収性が大きくても、系は冷却される。しかしながら、人間活動で増加するエーロゾルの影響としては、まず日傘効果を考えるのが妥当であろう。
[三崎方郎]
『日本エアロゾル学会編、高橋幹二著『エアロゾル学の基礎』(2003・森北出版)』▽『三崎方郎著『微粒子が気候を変える――大気環境へのもう一つの視点』(中公新書)』
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
(饒村曜 和歌山気象台長 / 宮澤清治 NHK放送用語委員会専門委員 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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