日光写真(読み)ニッコウシャシン

デジタル大辞泉 「日光写真」の意味・読み・例文・類語

にっこう‐しゃしん〔ニツクワウ‐〕【日光写真】

日光にあてて写す写真玩具。絵を印刷したネガ感光紙に重ねて、ガラス板をはめたわくに入れ、日光に数分間あてて焼きつけるもの。

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精選版 日本国語大辞典 「日光写真」の意味・読み・例文・類語

にっこう‐しゃしんニックヮウ‥【日光写真】

  1. 〘 名詞 〙 薄紙に絵を印刷した種板(ネガ)を黄色い種紙(感光紙)にのせ、ガラス板をはめた木枠に入れて日光にさらし、紫色に焼きつけて遊ぶ子どもの玩具。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「日光写真を日向にならべ種紙に絵がうつるのを待った」(出典:明治少年風俗誌(1963)〈原田種夫〉春)

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改訂新版 世界大百科事典 「日光写真」の意味・わかりやすい解説

日光写真 (にっこうしゃしん)

写真の印画紙にネガや図面などの原稿を密着し,太陽光で焼き付けて写真を作る方法およびこれによって得られる写真をいう。一般に銀塩主体とする写真感光材料を使って写真を作る過程は,露光現像定着の処理を必要とするが,日光写真では強い光源を使って直接画像を作り現像の過程を省いている。このような写真過程を焼出しprint-outと呼び,現像を経て画像を作る過程developing-outと区別している。焼出しによって得た写真像は定着の処理を省いているため,画像に強い光が当たると全面黒化して画像は消失する。したがってこの画像を保存する場合には定着,安定化などの処理が必要である。銀塩を用いた焼出し写真用印画紙はオシログラフなどの記録用に使われるが,一般写真の印画には使われない。児童教材や玩具として使われることがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「日光写真」の意味・わかりやすい解説

日光写真
にっこうしゃしん

化学変化を応用した写真玩具(がんぐ)。青写真ともいう。薄板に絵を印刷したもの(種板(たねいた))を、感光度の低い日光感光紙(種紙(たねがみ))に重ねて、小さなガラス板付きの焼き枠(わく)に入れ、日光に数分間当てて焼き付け、さらに水につけて仕上げる。定着液を用いないので、数日後には映像は消える。写真技術を取り入れた新しい玩具として、大正時代から子供たちの間で流行した。焼き枠の大きさはほぼ名刺大で、種板、種紙は20枚撮り程度のものが小物玩具として売られた。第二次世界大戦後は児童雑誌の付録などに利用され、漫画やテレビのキャラクターものなどの種板に人気がある。俳諧(はいかい)では「青写真」が冬の季語に入れられている。

[斎藤良輔]

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