日南市(読み)ニチナンシ

デジタル大辞泉 「日南市」の意味・読み・例文・類語

にちなん‐し【日南市】

日南

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日本歴史地名大系 「日南市」の解説

日南市
にちなんし

面積:二九四・二九平方キロ

県の南部に位置する。東は日向灘に面し、南は南那珂郡南郷なんごう町、南西は男鈴おすず(七八三・四メートル)を境に串間市、西はうしの峠(九一八メートル)を境に都城市、北西は北諸県きたもろかた三股みまた町、北は小松こまつ(九八八・八メートル)を境に南那珂郡北郷きたごう町、また市域北部の鵜戸うど地区で宮崎市に接する。明治以前ひがし川とよばれた広渡ひろと川は北郷町から南下して市内に入り、東郷とうごう地区を経てうめはまで日向灘に流れ込む。一方、西部の酒谷の赤石さかたにのあかいしを水源とする酒谷(明治以前西川といった)が旧飫肥おび城下を経て油津あぶらつ港の北、梅ヶ浜から約二キロほど上流の地で広渡川に合流する。海岸沿いに国道二二〇号が縦断し、同道から西へ分岐する国道二二二号はおおむね酒谷川に沿って市域を横断し、都城市に至る。またJR日南線が通り、海岸部は日南海岸国定公園に指定される。市名は日向国の南部の意で、「日南安国之新居」(島隠漁唱)、「日南油浦之梅浜」(日下一木集)など、文芸(漢詩)の世界では中世以来、当地一帯を日南と称していた。

〔原始・古代〕

市域では旧石器時代の遺跡は確認されていない。縄文時代早期の前畑まえはた遺跡で集石遺構一五基、さかうえ遺跡で竪穴住居跡一二棟と集石遺構五基が検出され、弥生時代の遺跡としては影平かげひら遺跡で中期末の竪穴住居跡四棟、かき木平きひら遺跡で後期末の竪穴住居跡一棟が検出された。また飫肥城下町おびじようかまち遺跡の小村記念館建設用地でも弥生時代後期の土器が出土している。古墳時代では油津山上あぶらつさんじよう古墳の竪穴式と思われる石室から鏡や玉類が出土し、中期の古墳とみられており、同時期の上方の細田かみかたのほそだ古墳は独立自然丘陵の岩盤を掘込んで石室を構築している。また風田かぜだにある後期の狐塚きつねづか古墳は県内最大の横穴式石室をもつ古墳で、盗掘を受けていたにもかかわらず、石室内より銅製の鋺・鈴、馬具(残欠)・刀・鉄鏃や須恵器が出土。定型化した横穴式石室の終末期古墳としては九州最南端に位置し、規模や出土遺物、立地などからヤマト政権とのかかわりが想定されている。ほかに東郷古墳や下講しもごう古墳・県城あがたじよう古墳・釈迦しやか尾野おの横穴墓などがあるが、消滅その他の理由でその詳細は不明である。

律令制度の国郡制のもと、当市域は宮崎郡飫肥郷に属していたと考えられる。一方、奈良時代から平安時代にかけての遺跡では、小村記念館建設用地(武家屋敷に伴う遺構・遺物も多数出土している)で多数の掘立柱建物跡とともに土師器製塩土器が出土した。ほかに狐塚古墳の石室内では平安時代の製塩炉とみられる石組と多数の製塩土器片が出土、海岸沿いの古奥ふるおく遺跡・本源寺ほんげんじ遺跡・小目井こめい遺跡・宮浦前田みやうらまえだ遺跡・太田おおた遺跡・まんさこ遺跡・駒宮こまみや遺跡などでも製塩土器の散布が確認されている。


日南市
にちなんし

2009年3月30日:日南市と南那珂郡北郷町・南郷町が合併
【北郷町】宮崎県:南那珂郡
【南郷町】宮崎県:南那珂郡
【日南市】宮崎県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日南市」の意味・わかりやすい解説

日南〔市〕
にちなん

宮崎県南部,日向灘に臨む市。1950年市制。1955年細田町と鵜戸村,1956年酒谷村と榎原村の一部をそれぞれ編入。2009年北郷町,南郷町の 2町と合体。市域の過半鰐塚山地が占め,造船用の適材として知られる飫肥杉(おびすぎ)の産地。広渡川と支流酒谷川の下流域に沖積平野が発達。中心市街地の飫肥は,江戸時代は飫肥藩伊東氏城下町で,国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。油津は江戸時代から商港,漁港として栄え,貿易指定港として木材の搬出,マグロ,カツオなどの漁業基地となっている。広渡川と港を結んで貞享3(1686)年に開削された堀川運河がある。中ノ尾供養碑は国指定史跡,東郷のクス,ヘゴ自生北限地帯,虚空蔵島(こくぞうじま)の亜熱帯林はいずれも国指定天然記念物。海岸部は日南海岸国定公園に属し,鵜戸神宮などがある。北西部の鰐塚山(1118m)周辺はわにつか県立自然公園に属する。JR日南線,国道220号線,222号線が通じる。面積 536.11km2。人口 5万848(2020)。

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