原題は《Arte da lingoa de Iapam》。イエズス会宣教師ロドリゲスJoão Rodriguez著。3巻1冊。1604-08年(慶長9-13)長崎学林刊。オックスフォード大学およびクロフォード家蔵。のちの《日本小文典》(1620)に対して《大文典》という。当時の標準的口語を中心にして,文書語,書簡語,方言などにもおよび,ラテン文法によりつつも,できるだけ日本語の特性に即して詳述している。土井忠生による訳本がある。外国人による日本語研究で第一等の書であり,当時の日本語を調べるうえで欠くことができない。ロドリゲスは1577年(天正5)に来日,在日約30年,通訳として活躍したが,マカオに追放された。マカオ刊《小文典》は,《大文典》を縮小したものだが,新見識もある。
執筆者:福島 邦道
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ロドリゲス著、三巻一冊の日本語学書。キリシタン宣教師の日本語修得を目的として、1604年(慶長9)から08年にかけて刊行された。文法を中心に音韻、文字、綴字(つづりじ)、語彙(ごい)、文体、方言に至るまで、当時の国語現象全般を豊富な具体例をあげて詳細に論述している。当時行われたラテン文典の構成を根幹としつつも、日本側の所説も参照し、著者独自の考えもある。『日葡(にっぽ)辞書』とともに当代国語研究に不可欠の資料である。本書を整備、発展させたのが『日本小文典』Arte breue da Lingoa Iapoa(1620、マカオ刊)で、『日本大文典』の利用に際しては同書を参照する必要がある。イギリスのクロフォード家およびオックスフォード大学ボードレイ文庫におのおの一部が現存する。
[阿部健二]
『土井忠生訳『ロドリゲス日本大文典』(1955・三省堂)』▽『土井忠生・三橋健解説『日本大文典』(1976・勉誠社)』▽『福島邦道著『キリシタン資料と国語研究』(1973・笠間書院)』
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イエズス会宣教師ロドリゲス・ツズが著した,ポルトガル語で書かれた日本語の文法書。1604~08年(慶長9~13)長崎学林刊。ラテン語文法に準拠して記述しているが,当時の標準的口語を中心に文語や方言・敬語法などにも言及している。多くの日本文献を引用,日本人の学説をもふまえて考察を深めている。外国人による日本語研究書として第一級の資料。土井忠生による訳本「日本大文典」がある。
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…後者《日本小文典》(1620。《簡約日本文典》ともいう)は前者《日本大文典》(1604‐08。単に《日本文典》ともいう)を簡略にしたものであるが,ともに16世紀から17世紀へかけての日本語を詳密に記述していて,今日,日本語の歴史を研究するうえに欠くことのできない文献となっている。…
※「日本大文典」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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