日本文学報国会(読み)にほんぶんがくほうこくかい

精選版 日本国語大辞典 「日本文学報国会」の意味・読み・例文・類語

にほん‐ぶんがくほうこくかい‥ブンガクホウコククヮイ【日本文学報国会】

  1. 太平洋戦争中の昭和一七年(一九四二内閣情報局指導結成された文学者団体会長徳富蘇峰文学を通しての国策宣伝、戦争協力を目的とした。同二〇年解散。

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百科事典マイペディア 「日本文学報国会」の意味・わかりやすい解説

日本文学報国会【にほんぶんがくほうこくかい】

第2次大戦中につくられた国策的文学者団体。1942年―1945年。情報局第5部第3課指導下,大政翼賛会内閣情報局後援によって成立。国策の周知徹底,宣伝普及に挺身し,その施行実践に協力することを目的とする総動員体制の一環。会長徳富蘇峰,事務局長(初代久米正雄のもと約4000人の会員が小説,劇文学などの8部会に分かれる。主要事業は大東亜文学者大会開催,《国民座右銘》(評論随筆部会)《愛国百人一首》(短歌部会)選定,《大東亜戦詩集・歌集編纂,辻小説・辻詩製作,古典作家の顕彰祭,文芸報国運動講演会など。機関誌は《日本学芸新聞》を引き継ぎ,《文学報国》と改題して発行。1945年8月の敗戦とともに消滅
→関連項目大日本言論報国会百人一首

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改訂新版 世界大百科事典 「日本文学報国会」の意味・わかりやすい解説

日本文学報国会 (にほんぶんがくほうこくかい)

第2次大戦中につくられた文学者の戦時組織。会長は徳富蘇峰。戦争目的達成のため,大政翼賛会内閣情報局の後援によって1942年5月につくられ,6月には発会式がおこなわれた。文芸家協会などを吸収し,3000名以上の会員が,小説,詩歌,評論,国文学,外国文学などの専門部会に分かれて活動した。初め参加をためらった者も,のちには作品発表の場を失う結果を恐れて加わったので,会員であることが文学者の資格であるような観を呈した。指導的メンバーは藤田徳太郎,保田与重郎,中河与一,岸田国士などである。大東亜文学者大会や文学報国講演会などを開催したり,《愛国百人一首》の選定をしたが,45年8月の敗戦とともに自然消滅した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日本文学報国会」の意味・わかりやすい解説

日本文学報国会
にほんぶんがくほうこくかい

文学者団体。第2次世界大戦下,日米開戦 (1941) の約半年後に内閣情報局と大政翼賛会の勧奨により日本文芸家協会を解体してできたもので,文学活動に対する国家統制の手段であった。8部会,約 3100名を擁し,1942年5月 26日に創立総会が行われ,内閣情報局次長によって,常任理事に久米正雄,中村武羅夫,理事に長与善郎ら 16名,各部会の部会長,幹事長などが指名された。さらに6月 18日の発会式では,徳富蘇峰が会長となり,戦時下における文学者の決意宣誓があって,内閣情報局第5部3課の指導監督を受ける政府の外郭団体として発足。3回にわたる大東亜文学者大会の開催,『愛国百人一首』『国民座右銘』の選定などを行なった。 45年8月 31日解消。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「日本文学報国会」の意味・わかりやすい解説

日本文学報国会
にほんぶんがくほうこくかい

文学団体。太平洋戦争下の1942年(昭和17)5月、日本文化の顕揚を目的に、全文学者が大同団結して結成された。内閣情報局と大政翼賛会の勧奨によるもので、文学活動に対する統制であった。会長は徳富蘇峰(そほう)。小説、劇文学、評論随筆、詩、短歌、俳句、国文学、外国文学の八部会からなり、会員約4000名を擁した。おもな事業として、大東亜文学者大会の開催や、文芸報国講演、傷病兵慰問文芸運動などを行い、また、『愛国百人一首』(短歌部会)、『国民座右銘』(評論随筆部会)の選定、『大東亜戦作品集』の出版選定などがあった。いずれも文学による戦意高揚、国策宣伝のためのもので、終戦直後解散した。

[大久保典夫]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「日本文学報国会」の解説

日本文学報国会
にほんぶんがくほうこくかい

内閣情報局の指導によって組織された文学者の戦時動員組織。1942年(昭和17)5月に結成。会長は徳富蘇峰。小説・劇文学・評論随筆などの8部会に約3000人の文学者を組織化し,文学者による国策宣伝・戦争協力を推進した。機関紙「文学報国」を発行。敗戦後解散。

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