「くじ」とも読み、「本辞(ほんじ)」「先代(せんだい)旧辞」ともいわれた(『古事記』序文)。帝紀(ていき)(帝皇日継(ていおうのひつぎ))とともに『古事記』編纂(へんさん)のための主要な資料となり、また『日本書紀』の編纂にも使われた古代の神話・伝承の記録。その内容は『古事記』の文から推すと、神代の諸伝説、歴代天皇の巻々の諸説話、歌物語の類があり、これを伝承の性格から分類すれば祭祀(さいし)、氏族、芸能の3種となるといわれる。もともと各氏族にはそれぞれの神話、伝承が伝えられていたが、5~6世紀のころ大和(やまと)王権の発展とこれに伴う国家的自覚の成長を背景にして、大王を中心に各種旧辞の統合が図られ、統一的な政治構想をもつ記録がつくられたと考えられる。
[黛 弘道]
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「古事記」編纂材料の一つ。同書序文は「本辞」「先代旧辞」とも記し,「帝紀(ていき)」と並んで登場する。内容については系譜的記事と考えられる「帝紀」部分を「古事記」から除いた,神話や説話といった物語的なものとみなす説が有力である。また神代巻であったとする見方もあるが,どちらも十分な根拠をもつものではない。成立年代も明らかではないが,大王権力の強化が図られた6世紀中頃とする説が有力。
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…《日本書紀》の推古28年(620)条に〈天皇記及国記,臣・連・伴造・国造・百八十部幷公民等本記を録す〉とある。内容は不明だが,《古事記》の原史料となった《帝紀》《旧辞》のうちの《帝紀》に《天皇記》が相当するとすれば,《国記》は《旧辞》で,神代以来の物語の集成かという。《天皇記》《国記》は蘇我大臣家に伝わり,645年(大化1)大臣家が焼かれたとき,《国記》のみは船恵尺(ふなのえさか)が救いだして中大兄(なかのおおえ)皇子に献上したというが残っていない。…
…《古事記》中・下巻は,歴代天皇の系譜やおもな事跡に関する簡単な記録と,歌謡を含む物語部分からなるが,前者が帝紀,後者が旧辞を指すというのが通説である。《古事記》序文中に〈帝皇の日継,先代の旧辞〉などと,系譜と旧辞が対応するごとくに書かれているからである。…
…《古事記》中・下巻は,歴代天皇の系譜やおもな事跡に関する簡単な記録と,歌謡を含む物語部分からなるが,前者が帝紀,後者が旧辞を指すというのが通説である。《古事記》序文中に〈帝皇の日継,先代の旧辞〉などと,系譜と旧辞が対応するごとくに書かれているからである。…
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