早舞(読み)ハヤマイ

デジタル大辞泉 「早舞」の意味・読み・例文・類語

はや‐まい〔‐まひ〕【早舞】

舞事まいごとの一。シテの舞う爽快・典雅な舞。中の舞よりテンポが速く、笛・大鼓小鼓太鼓ではやす。「海人あま」「とおる」などに用いる。
歌舞伎下座音楽の一。能管・大鼓・小鼓・太鼓による囃子はやし幕開き幕切れ人物の急な出入りなどに用いる。

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精選版 日本国語大辞典 「早舞」の意味・読み・例文・類語

はや‐まい‥まひ【早舞】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 能の舞の名称。爽快典雅な舞で、中(ちゅう)の舞よりテンポがはやく位の高いもの。舞手はシテ。笛と大小の鼓と太鼓で囃し、初段おろしより盤渉(ばんしき)調になる。魄霊(はくれい)の舞うものを特に黄鐘(おうしき)早舞といい、これはすべて黄鐘調で、太鼓ははいらない。
    1. [初出の実例]「早舞の心持。早き能には、万の調子、甲(か)りたがり」(出典:八帖花伝書(1573‐92)四)
  3. 歌舞伎の下座(げざ)音楽の一つ。能の手法を長唄囃子に襲用したもの。大小鼓・太鼓・能管で囃す。幕明・幕切など、人物の急激な動きや退出場に用いる。
    1. [初出の実例]「奥を見詰め、キッとなる。この時、早舞ひになり」(出典:歌舞伎・時桔梗出世請状(1808)三幕)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「早舞」の意味・わかりやすい解説

早舞
はやまい

邦楽囃子の名称。 (1) 能 貴人幽霊などが舞う爽快な舞をいう。笛に大小鼓,太鼓が伴う。一般の舞よりも高い調子の盤渉 (ばんしき) で奏されるが,この一類に他と同じ黄鐘 (おうしき) で奏される黄鐘早舞がある。この場合は太鼓を用いない。 (2) 歌舞伎 (1) の応用急調子の幕あき,幕切れ,登場に用いられる。

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世界大百科事典(旧版)内の早舞の言及

【舞事】より

…能の舞事には,笛(能管)・小鼓・大鼓で奏する〈大小物(だいしようもの)〉と太鼓の入る〈太鼓物〉とがあるが,その両者を含めて,笛の基本の楽句である(じ)の種類によって分類されることが多い。すなわち,呂中干(りよちゆうかん)の地といわれる共用の地を用いる〈序ノ舞〉〈真(しん)ノ序ノ舞〉〈中ノ舞(ちゆうのまい)〉〈早舞(はやまい)〉〈男舞(おとこまい)〉〈神舞(かみまい)〉〈急ノ舞〉〈破ノ舞(はのまい)〉などと,それぞれが固有の地を用いる〈楽(がく)〉〈神楽(かぐら)〉〈羯鼓(かつこ)〉〈鷺乱(さぎみだれ)(《鷺》)〉〈猩々乱(《猩々》)〉〈獅子(《石橋(しやつきよう)》)〉〈乱拍子(《道成寺》)〉などの2種がある。〈序ノ舞〉は女体,老体などの役が物静かに舞うもので,《井筒》《江口》《定家》などの大小物と《小塩(おしお)》《羽衣》などの太鼓物がある。…

※「早舞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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