明通寺(読み)ミョウツウジ

デジタル大辞泉 「明通寺」の意味・読み・例文・類語

みょうつう‐じ〔ミヤウツウ‐〕【明通寺】

福井県小浜市にある真言宗御室派の寺。山号は、ゆずり山。大同元年(806)坂上田村麻呂の創建と伝える。鎌倉時代に建立の本堂三重塔は国宝。中世の文書を多数所蔵する。

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精選版 日本国語大辞典 「明通寺」の意味・読み・例文・類語

みょうつう‐じミャウツウ‥【明通寺】

  1. 福井県小浜市門前にある真言宗御室派の寺。山号は棡(ゆずり)山。大同元年(八〇六)坂上田村麻呂が創建したと伝えられる。鎌倉時代、頼禅が中興。本尊は棡樹に彫刻した薬師如来像。鎌倉時代建立の本堂・三重塔は国宝。

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日本歴史地名大系 「明通寺」の解説

明通寺
みようつうじ

[現在地名]小浜市門前

門前もんぜんの東南谷あい、小字棡谷ゆずりだににあり、境内には高さ約一四メートル、樹齢約五〇〇年というカヤの木がある。山号棡山、真言宗御室派。本尊薬師如来(坐像、国指定重要文化財)。古くは棡寺の称もあった。

〈近江・若狭・越前寺院神社大事典〉

〔開創伝承〕

平安初期の征夷大将軍坂上田村麻呂にまつわる草創伝承があり(元暦二年二月日「明通寺住僧観西申状案」飯島こと氏蔵)、建武元年(一三三四)一二月日の明通寺衆徒等奏状案(明通寺文書)によれば、延暦年中(七八二―八〇六)坂上田村麻呂が若狭国の国司であったとき、春子女御(桓武天皇の女御、田村麻呂の娘)の皇子誕生を祈り、かつ殺戮した蝦夷の亡魂の得脱を訪うため、遥かに天を仰いで、「我が願空しからずして未来正覚をなすのであらば、寺院を建てるにふさわしい地を示せ。その所に薬師尊像を造立し奉る」とひそかに願を発した。そのことばが終わるやいなや、神通により鏑矢が放たれた。その跡を追って高い山に登ったところ、一人の沙門がいた。草庵を構え、棡の木を本尊になぞらえ、端座していた。件の矢はかの木の下に中たって留まっていた。田村麻呂将軍は怪しんでその理由を問うと、沙門は「私はこの山に住んで歳久しく延源居士と称するものである。最近この庭で燃える火のように赤い光明を見たので、近づき見ると生身医王善逝(薬師如来)であった。喜びのあまり、抱着き奉ったところ、棡の木に変わってしまった。この因縁によりかの霊木を礼拝供養しているのである」と答えた。田村麻呂はたちまちに感応がはっきりしていることを尊び、その木をもって等身の像を造立し、一寺を草創して以降、光明が常に山川に通じたので、寺号を明通寺と称したという。

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改訂新版 世界大百科事典 「明通寺」の意味・わかりやすい解説

明通寺 (みょうつうじ)

福井県小浜市にある真言宗御室派の寺。山号は棡(ゆずり)山。平安時代初期,坂上田村麻呂の開創と伝える。平安末期から鎌倉初期にかけて国衙の祈禱所となり,鎌倉・室町時代を通じて幕府や守護の帰依を受け,盛時には25坊を数えたという。現在は,国宝に指定されている本堂(1258)と三重塔(1270)の他に客殿,庫裏などが建つ。なかでも老杉のなかにそびえる三重塔は有名で,総高22.2m,3間四面で各層総円柱であり,鎌倉期の代表的建築である。寺宝には本尊薬師如来像をはじめ降三世明王像,深沙大将像(以上,藤原期)などがあり,いずれも重要文化財に指定されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「明通寺」の意味・わかりやすい解説

明通寺
みょうつうじ

福井県小浜(おばま)市門前にある真言(しんごん)宗御室(おむろ)派の寺。棡山(ゆずりざん)と号する。平安時代の初め坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)の発願で、諸堂が建立され、本尊薬師如来(にょらい)を安置した。その後火災にあったが、鎌倉時代に中興と仰がれる頼禅がきて、本堂(薬師堂)、三重塔、仁王(におう)門などを造営。のち祈願所として武家の尊信が厚く、寺門が繁栄した。現在、本堂・三重塔(ともに国宝、鎌倉時代)、弁天堂、仁王門、鐘楼、客殿などがあり、寺宝には平安後期の薬師如来、降三世(ごうざんぜ)明王、不動明王、深沙(じんじゃ)大将の木彫、『彦火々出見尊(ひこほほでみのみこと)絵巻』(市指定文化財)六巻、古文書などがある。

[勝又俊教]


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百科事典マイペディア 「明通寺」の意味・わかりやすい解説

明通寺【みょうつうじ】

福井県小浜(おばま)市にある真言宗御室(おむろ)派の寺。9世紀初め坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)が草創と伝え,棡(ゆずり)寺とも。平安期には国衙(国衙・国府)の祈祷所,鎌倉・室町時代には幕府・守護の帰依を受けた。鎌倉期創建の本堂・三重塔は国宝,本尊薬師如来など平安後期の仏像彫刻4体は重要文化財。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「明通寺」の意味・わかりやすい解説

明通寺
みょうつうじ

福井県小浜市にある真言宗御室派の寺。坂上田村麻呂が創建したと伝えられる。正嘉2 (1258) 年造立の本堂は,文永7 (70) 年建立の三重塔とともに,鎌倉建築の名作で国宝。平安時代初期の仏像数体を蔵する。

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デジタル大辞泉プラス 「明通寺」の解説

明通寺(みょうつうじ)

福井県小浜市にある寺院。真言宗御室派。山号は棡(ゆずり)山。806年創建と伝わる。本堂及び三重塔は鎌倉時代中期に再建されたもので、国宝に指定されている。本尊の薬師如来像は重要文化財。

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