宮沢賢治が生前刊行した唯一の詩集。1924年(大正13)4月,関根書店刊。序詩につづいて《屈折率》(1922年1月6日)から《冬と銀河ステーション》(1923年12月10日)まで64編が日付(発想または第1稿成立の)順に収められている。前半の中心は,詩人が自らを憂悶する修羅と規定するパセティックな詩編《春と修羅》であり,後半は妹とし子の病死を素材として,詩の成立の根源にせまった痛切澄明な《永訣(えいけつ)の朝》をはじめとする《無声慟哭(むせいどうこく)》詩群と,長大な挽歌詩群を中心としている。時間とともに変幻する心象を生鮮な語彙と音韻構造によって記録展開したこの詩集は,刊行時から一部の詩人に深い衝撃を与えた近代詩の記念碑的一冊である。
執筆者:天沢 退二郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
宮沢賢治の唯一の生前刊行詩集。1924年(大正13)4月刊。「わたくしといふ現象は/仮定された有機交流電燈の/ひとつの青い照明です」と始まる「心象スケッチ」の手法の秘密にかかわる重要な序詩のほか、「屈折率」(1922.1.6)から「冬と銀河ステーション」(1923.12.10)まで64編が、発想または第一稿の日付順に収められている。その独創的な語法、鮮烈なポエジー、宇宙的感覚は、刊行当初は少数具眼の評家・詩人の注目をひいただけであったが、詩人没後、近代詩の記念碑的著作としての評価がしだいに定まった。妹の死を素材とした「永訣(えいけつ)の朝」以下の連作はよく知られている。
[天沢退二郎]
『『校本宮沢賢治全集2』(1973・筑摩書房)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新