春日祭(読み)カスガマツリ

デジタル大辞泉 「春日祭」の意味・読み・例文・類語

かすが‐まつり【春日祭】

春日大社の祭礼。古くは陰暦2月・11月最初さるの日行われたもので、申祭りともよばれた。現在は3月13日に行われる。賀茂かも石清水いわしみずの祭礼とともに三勅祭の一。かすがさい 春》

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精選版 日本国語大辞典 「春日祭」の意味・読み・例文・類語

かすが‐まつり【春日祭】

  1. 〘 名詞 〙 奈良の春日大社の祭礼。陰暦二月、一一月の上申の日に行なわれた(現在は三月一三日)。平安初期から行なわれ、藤原氏の栄華を反映して盛大をきわめた。特に貞観年間(八五九‐八七七)には伊勢斎宮賀茂斎院にならって春日斎女が置かれて、祭礼も壮観を呈した。朝廷をはじめ、東宮、中宮、氏人などから奉幣があり、近衛府からは神馬を献ずる春日祭使(かすがさいし)が派遣され、その行装は華麗であった。かすがのまつり。《 季語・春 》
    1. [初出の実例]「春日祭如常」(出典日本三代実録‐貞観元年(859)二月一〇日)

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改訂新版 世界大百科事典 「春日祭」の意味・わかりやすい解説

春日祭 (かすがさい)

〈かすがまつり〉ともいう。奈良市春日野町に鎮座する春日大社の例祭。賀茂祭(葵(あおい)祭),石清水(いわしみず)祭と並ぶ三大勅祭の一つ。起源については諸説あるが,850年(嘉祥3)を創始の時期とする説が有力である。古くは毎年旧暦の2月と11月の上申の日に行われ,これを申祭(さるまつり)とも称した。1886年からは3月13日に行われている。当社は藤原氏の氏神であることから藤原氏の氏長者(うじのちようじや)が祭祀を行い,上卿と弁とが奉行し,官使として近衛使,中宮使が参向して奉幣した。藤原氏の隆盛とともに朝野の崇敬をあつめ祭典は盛大を極めた。また,伊勢の斎宮,賀茂の斎院に準じて春日には斎女が置かれ,869年(貞観11)から春日祭に参向した。祭儀は,祭りの前日斎女が京都を出発,大和の国司は国境まで出迎え,佐保頓舎に至る。翌日の祭日には官幣,神馬とともに盛大な行列を整えて本社に入る。到着した斎女は神態の服に替え所定の座に着く。ついで官幣および中宮幣・東宮幣は上の棚に置き,藤原氏人の幣は下の棚に置かれ,それを物忌が神殿の内へ納める。また五位以上の氏人が神饌の机を肩にのせて運び,陳列する。大臣をはじめ,朝使,氏人らが着座ののち,神馬を神前につらね,ついで神主が祝詞を読み,朝使以下が拝礼を行う。近衛使,氏人,社司らによる東遊(あずまあそび)と大和舞(やまとまい)の奉納があり,斎女の退出によって祭儀を終わる。斎女廃絶ののちにも,上卿,内侍,近衛府の使らが舞人,陪従を従えて奈良に下る春日祭使の行列は華麗かつ壮観であった。応仁の乱以降,同祭は中絶していたが,元禄年間(1688-1704)に再興された。しかし,内侍らの参向はなく略式化された。1886年旧儀復興して再び勅祭となった。現行の祭儀は,平安時代の祭祀の姿をよくとどめている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「春日祭」の意味・わかりやすい解説

春日祭
かすがさい

3月13日に行われる奈良市春日大社の例祭。「かすがまつり」、申祭(さるまつり)ともいう。仁明(にんみょう)天皇の850年(嘉祥3)に始まったといわれ、清和(せいわ)天皇の859年(貞観1)11月9日の庚申(こうしん)の夜執行されて以来、春2月、冬11月の上の申(さる)の日を祭日と定められたため、申祭の名がある。明治以降3月13日となり現在に至っている。神宝奉奠(ほうてん)、稲垣の懸税(かけぢから)をはじめ、着到の儀、御棚(おたな)奉奠、饗饌(きょうせん)、和舞(やまとまい)、見参、賜禄(しろく)、拝舞などが行われるが、神饌の御棚は勅使自らの手により奉奠される。神饌は『延喜式(えんぎしき)』にみえるそのままが現在も供えられている。また和舞は大和(やまと)地方の風俗舞で、古くより春日祭に奏されてきたことが『貞観儀式(じょうがんぎしき)』などによりうかがわれる。

[落合偉洲]

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百科事典マイペディア 「春日祭」の意味・わかりやすい解説

春日祭【かすがまつり】

春日大社の例祭。古くは2月と11月の上申(さる)の日に行われ,申まつりと称されたが,1886年に3月13日に改められた。古式にのっとった諸儀式,東遊(あずまあそび)などの舞楽が奏される。石清水祭,賀茂祭(葵祭)とともに三勅祭という。
→関連項目祭日

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事典・日本の観光資源 「春日祭」の解説

春日祭り

(滋賀県東近江市)
湖国百選 祭/踊編」指定の観光名所。

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世界大百科事典(旧版)内の春日祭の言及

【春日祭】より

…藤原氏の隆盛とともに朝野の崇敬をあつめ祭典は盛大を極めた。また,伊勢の斎宮,賀茂の斎院に準じて春日には斎女が置かれ,869年(貞観11)から春日祭に参向した。祭儀は,祭りの前日斎女が京都を出発,大和の国司は国境まで出迎え,佐保頓舎に至る。…

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