更科紀行(読み)サラシナキコウ

デジタル大辞泉 「更科紀行」の意味・読み・例文・類語

さらしなきこう〔さらしなキカウ〕【更科紀行】

江戸中期の俳諧紀行文。1冊。松尾芭蕉作。元禄元~2年(1688~1689)成立。同元年8月、門人越智越人おちえつじんを伴い、名古屋から木曽路を通り、更科姨捨山おばすてやま月見をして江戸に帰ったときの旅行記

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精選版 日本国語大辞典 「更科紀行」の意味・読み・例文・類語

さらしなきこう‥キカウ【更科紀行】

  1. 江戸前期の俳諧紀行文。一編。松尾芭蕉著。元祿元年~二年(一六八八‐八九)成立。宝永六年(一七〇九)「笈の小文」の付録として刊行。「笈の小文」の旅の続きで、元祿元年、名古屋から木曾路を経て更科の姨捨山(おばすてやま)の月見をし、善光寺に参詣し、碓氷峠を経て江戸に帰った旅の、旅立ちの動機から途中の情景、経験、感想などを記した短編文末に芭蕉と越人の句が一括して収めてある。

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改訂新版 世界大百科事典 「更科紀行」の意味・わかりやすい解説

更科紀行 (さらしなきこう)

俳諧・紀行。芭蕉著。1巻。1688年(元禄1)冬から翌年春にかけての成立(異説もある)。88年8月11日越人(えつじん)と荷兮かけい)の召使を連れて木曾路をたどり,姥捨の月を賞し,翌日善光寺にもうで,長野から碓氷峠を経て月末江戸に帰るまでの紀行作品で,構成は前半に文章,後半に発句を置く。冒頭に〈さらしなの里,姥捨山の月見ん事,しきりにすゝむる秋風の心に吹きさはぎて〉とあり,この作品が姥捨月見の記であることを示す。姥捨での吟は,〈俤や姥ひとりなく月の友〉。この旅の目的は,信濃路の自然に接することと,名所の本意を作品化することにあったと考えられる。
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旺文社日本史事典 三訂版 「更科紀行」の解説

更科紀行
さらしなきこう

江戸中期,松尾芭蕉の俳諧紀行文
1688年頃成立。信濃国(長野県)更科に月見に行ったときの紀行文。短編ではあるが,旅情豊かな名編。

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