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書替狂言 カキカエキョウゲン

世界大百科事典 第2版の解説

かきかえきょうげん【書替狂言】

歌舞伎の脚本で,先行の有名な浄瑠璃や脚本から題材を借りながら新しく脚色した作品をいう。江戸時代に重んじられた吉例の思想と,観客の親近感に頼った興行政策によって流行。役名や事物など先行作品の〈世界〉をほとんどそっくり使い,ときには〈趣向〉までも部分的に借用した。近松門左衛門の《薩摩歌》から並木五瓶の《五大力恋緘(ごだいりきこいのふうじめ)》が作られ,同人の《略三五大切(かきかえてさんごたいせつ)》へ,さらにこれを4世鶴屋南北が《盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)》に書き替えたなど,例はきわめて多い。

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大辞林 第三版の解説

かきかえきょうげん【書替狂言】

好評であった浄瑠璃・歌舞伎の人物・場面をそのまま利用して別の趣向で書き直した歌舞伎狂言。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

書替狂言
かきかえきょうげん

歌舞伎(かぶき)脚本制作上の一つの技法。略して「書替(かきかえ)」ともいう。人気があり繰り返し上演される歌舞伎や人形浄瑠璃(じょうるり)の作品の登場人物や主要な局面をそのまま利用しながら別の作品をつくる方法をいう。まったく新しい作品を創作するのではなく、古くからよく知られている作品を下敷きにしながら、それをさまざまに書き替えて新作をつくる方法は、芸能だけでなく、江戸時代の文学の分野でも行われた。とりわけ歌舞伎の場合には、三面記事的な市井(しせい)の事件をそのまま脚色して上演することが禁止されていたから、そうした内容の作品をつくるときには、周知の役名を使って表面上は古い作品であるかのように装う必要があった。ただし、いわゆる「世界」を利用しながら「趣向」を案出して新しい作品を生み出す方法はごく一般的なもので、それらをすべて書替狂言というわけではない。お家物や世話物で、ある特定の作品を観客に意識させながら、それを全面的に書き替えた作品に限られる。『忠臣蔵』や『双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)』『夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)』『五大力(ごだいりき)』などは多くの書替狂言を生んでいる。[服部幸雄]

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世界大百科事典内の書替狂言の言及

【歌舞伎】より

…〈趣向〉がすなわち作者の個性であり,作品の生命であったといえる。 先行のある作品を念頭に置き,その場所,登場人物の立場や男女,主要な局面構成などを変更する作劇法があり,これを〈書替え〉といい,その方法によって作られた作品を〈書替狂言〉と呼んだ。すぐれた〈書替え〉は,パロディに似た効果をあげている。…

※「書替狂言」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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