郵便局(読み)ユウビンキョク

デジタル大辞泉 「郵便局」の意味・読み・例文・類語

ゆうびん‐きょく〔イウビン‐〕【郵便局】

郵便物の引き受け・交付、郵便切手の販売など郵便窓口業務やそれに付随する業務を行う事業所。日本郵便株式会社が全国に設置し、日本郵政グループ各社の代理店として郵便・貯金・生命保険などの窓口業務を行う。平成19年(2007)の郵政民営化以前は日本郵政公社の現業機関として郵便郵便貯金郵便為替郵便振替簡易生命保険などの窓口業務を行った。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

共同通信ニュース用語解説 「郵便局」の解説

郵便局

手紙の引き受けや配達、切手の販売、貯金の預かりや払い戻しなどを担う日本郵便の拠点。2022年末時点で全国に約2万4千ある。このうち約2万が日本郵便の直営で、残り約4千は個人や法人に運営を委託している「簡易郵便局」。インターネットの普及で郵便物が減る中、政府は配送網や郵便局舎を地域活性化に活用する方策を検討している。

更新日:

出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報

精選版 日本国語大辞典 「郵便局」の意味・読み・例文・類語

ゆうびん‐きょくイウビン‥【郵便局】

  1. 〘 名詞 〙 郵便物の引受・配達などの郵便事務、郵便貯金・郵便為替(かわせ)郵便振替貯金・簡易生命保険・郵便年金などの事務を取り扱う機関。普通郵便局特定郵便局の区別がある。明治八年(一八七五)に郵便役所を改称したもの。
    1. [初出の実例]「以前三日の早便りも、五日位かかりましたが、郵便局(イウビンキョク)が開けてより、僅か三日で西京まで、届く上に」(出典:歌舞伎・東京日新聞(1873)大切)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「郵便局」の意味・わかりやすい解説

郵便局
ゆうびんきょく

本項目では、おもに郵政民営化以前の郵便局について記述する。2007年(平成19)日本郵政公社は日本郵政グループへと民営化、分社化された。日本郵政グループは、持株会社「日本郵政株式会社」と、四つの事業会社「郵便局株式会社(郵便局)」「郵便事業株式会社(日本郵便)」「株式会社ゆうちょ銀行」「株式会社かんぽ生命保険かんぽ生命)」からなり、郵政事業は各社に引き継がれた。民営化以降、ほとんどの郵便局は郵便局株式会社が統括している。民営化以降の郵便局については、「郵便局株式会社」の項目を参照。

 日本郵政公社法(平成14年法律第97号)によって設置された機関で、地方支社の事務のうち、現業事務を行うのが郵便局である(2001年1月5日までは郵政省設置法により、以降、2003年3月までは郵政事業庁設置法による)。これとは別に簡易郵便局法(昭和24年法律213号)によって設置された簡易郵便局がある。

 郵便局は、まず普通局と特定郵便局に大別される。特定郵便局とは「特定郵便局長を長とする郵便局」で、局長は選考による自由任用制をとっているのが特徴である。その大部分の局は、かつての三等郵便局(後述)の後身である。それ以外の郵便局が普通局で、おおむね都市部の主要地に設置されている。

[山口 修・小林正義]

種類

郵便局を機能の面から分けると、集配局と無集配局に分けられる。集配局は、窓口業務とともに郵便物の集配、貯金の集金業務等を担当する郵便局で、無集配局は、窓口業務のみを行い、集配業務等を担当しない郵便局である。普通局、特定局ともに集配などの業務を担当するかしないかによって、集配局と無集配局に分けられる。2002年(平成14)3月末の時点では、集配局4884局、無集配(簡易局を含む)1万9889局となっていた。無集配局のなかには、次のような特殊な郵便局が含まれている。

(1)集中郵便局 大都市において通常および小包郵便物を集中して機械処理を行う郵便局で、横浜、名古屋に設置。

(2)船内郵便局 外国航路に就航する船舶内に設けられる郵便局で、かつては数も多かったが、近年は内閣府(旧総理府)の東南アジア巡航船「青年の船」や南極観測船に設けられるもののみである。

(3)定期開設局 毎年一定の期間を限って開かれる特定局または簡易局をさし、季節局ともよばれる。1906年(明治39)7月、初めて富士山局が開設された。

(4)国際郵便局 国際郵便物を専門に処理する郵便局として国際郵便局が設けられ、航空郵便または船便による郵便物の差立(さしたて)および受入れ事務を担当。ただし、国際郵便の取扱いは、国際郵便局ばかりでなく、すべての郵便局で行っている。しかし、各国ともすべての郵便局から直接相手国の郵便局へ送るのではなく、発送する場合も受領する場合も、集中して取り扱う局が指定されている。その指定された郵便局を交換局とよんでおり、国際空港や貿易港のある都市に設置されることが多い。日本では、東京国際局、新東京国際局、横浜港局、名古屋中央局、大阪中央局、神戸中央局、博多局、那覇中央局が交換局に指定されている。かつて、郵便輸送の中心的な役割を鉄道が果たしていたときには、鉄道による郵便輸送を専門に取り扱う鉄道郵便局があったが、1984年つまり昭和59年2月に行われたことから「ごうきゅうに」と称される自動車を主体とする郵便輸送システムの大改正により、1986年(昭和61)10月に全廃された。鉄道郵便局が存在していた当時、動く鉄道郵便局に対し、その他の郵便局は静止局とよばれていた。

 また、郵便物の区分あるいは運送の拠点となる郵便局のなかで、郵便番号の上2桁(けた)の地域を受け持つ「地域区分局」とよばれる局がある。ここでは他地域の地域区分局から送付された郵便物を、受持地域内の郵便局への差立事務、受持地域の郵便局から送付された郵便物を、他地域の地域区分局または自地域の郵便局と差し立てる事務を行っている。ある意味では、国際郵便物を取り扱う交換局に似た役割で、全国に84局ある。以上のような郵便局の事務を統括する局が統括局とよばれている。統括局のなかで県庁所在地にあるなど、規模の大きい局は中央郵便局に指定されている。

[山口 修・小林正義]

沿革

郵便創業(1871年)当初、政府が設置した郵便役所のほか、東海道筋などの要所に郵便取扱所が設けられた。郵便取扱所は民間人を取扱役として経営を委任し、その人たちが郵便事業の末端の機関として業務を担っていた。1875年(明治8)1月に、郵便役所、郵便取扱所もすべて「郵便局」の名称で統一されたが、内容が変わったわけではない。86年(明治19)3月、郵便局は三等級に分けられ、政府設置の局が一等局、二等局、郵便取扱所の後身である局が三等局となった。当時の一等局、二等局は、支局を含めて78局、三等局は約4000局であった。大正末年には、一等局、二等局は266局、三等局は8400局を超えていた。1941年(昭和16)2月に、郵便局の等級制が廃止され、一等局、二等局は普通局、三等局は特定局とよばれるようになった。2002年3月末の時点では、普通局は1308局、特定局1万8934局、簡易局4531局、合計2万4773局あり、郵便局ネットを構成していた。

[山口 修・小林正義]

『逓信総合博物館編著『近代郵便のあけぼの』(1990・第一法規出版)』『郵政省郵務局郵便事業史編纂室編『郵便創業120年の歴史』(1991・ぎょうせい)』『金子秀明著『郵貯・郵便局の未来』(1993・東洋経済新報社)』『郵便サービス研究会著『図解 郵便局がまるごとわかる本――郵便サービス・郵便貯金・簡易保険』(1998・東洋経済新報社)』『笹山久三著『郵便屋の涙』(1998・河出書房新社)』『山本昴編・友岡正孝監修『全国郵便局10000局 風景スタンプ集』(1998・日本郵趣出版)』『原田淳著『郵便局民営化計画』(2001・東洋経済新報社)』『池田実著『郵政民営化――郵便局はどこへ行く』(2001・現代書館)』『鹿野和彦著『地域と暮らしをポストがつなぐ――郵便局はふれあい満載』(2001・日本能率協会マネジメントセンター)』『松原聡監修『図解 郵政公社が見る見るわかる――公社化後の郵便局を見通すための77項』(2002・サンマーク出版)』『斉藤一雄著『感動発信の郵便局づくり』(2002・郵研社)』『中公新書ラクレ編集部編『論争・郵便局が消える日』(中公新書ラクレ)』


郵便局(株)
ゆうびんきょく
Japan Post Network Co.,Ltd.

日本郵政グループに属していた、郵便局の業務運営を行う特殊会社。2007年(平成19)10月1日の日本郵政公社の民営・分社化に伴い、郵便局株式会社法(平成17年法律第100号)に基づいて、郵便窓口業務および郵便局を活用した地域貢献に資する業務を目的とし、株式会社として設立された。持株会社の日本郵政(株)がその全株式を保有するものとされ、郵便事業(株)やゆうちょ銀行(株)、かんぽ生命保険(株)等より委託を受けて、郵便局の窓口で郵便物等の引き受けや切手・はがき類の販売、金融代理業、金融商品仲介業、生命保険・損害保険の募集業務等を行っていた。

 2012年(平成24)10月1日、改正郵政民営化法が施行されたことに伴い、郵便事業(株)を吸収合併して名称を日本郵便(株)に変更、郵便の業務と郵便局の運営業務は一体的に行われるようになった。

[石井晴夫]

『石井晴夫・武井孝介著『郵政事業の新展開――地域社会における郵便局の役割』(2003・郵研社)』『郵政民営化研究会編『郵政民営化ハンドブック』(2006・ぎょうせい)』『野村健太郎著『郵政民営化の焦点――「小さな政府」は可能か』増補新訂版(2007・税務経理協会)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「郵便局」の意味・わかりやすい解説

郵便局 (ゆうびんきょく)

郵便,郵便貯金,郵便為替,郵便振替,簡易生命保険,郵便年金など,いわゆる郵政三事業の業務を,窓口等を通し具体的に取り扱う機関。1948年制定の郵政省設置法によれば,地方郵政局の取扱い業務のうちの現業関係業務を担当するものと定められている。郵便事業が創業された1871年(明治4)当時は,郵便役所と郵便取扱所が設置されており,これが郵便局と呼ばれるようになったのは,75年のことである。1873年に従来の郵便役所を一等郵便役所とし,郵便取扱所のうちから270ヵ所を選んで,二等から四等までの郵便役所に改め,その長である職務を取扱役とした。75年に郵便局と改称したときに,従来の一等から四等の郵便役所はそれぞれ一等から四等の郵便局とし,郵便取扱所を新たに五等郵便局とした。その後86年に郵便局を三等級制に改め,郵便取扱役の配置されていた局を三等郵便局に指定し,取扱役の名称も,三等郵便局長と改めた。これが,特定郵便局の前身である。1941年に等級別の格付が廃止されて普通局と特定郵便局とに分けられ,49年には簡易郵便局法が制定されて簡易郵便局が登場することになった。

 普通郵便局は正式には〈特定郵便局長を長とする郵便局以外の郵便局〉のことをいい,局長の任用が一般官吏の例によるもので,比較的大規模な郵便局である。特定郵便局は正式には〈特定郵便局長を長とする郵便局〉のことで,局長が自由任用である点が普通局と異なり,比較的小規模である。簡易郵便局は,国の直轄郵便局である普通局,特定局と異なり,郵政大臣の委託を受けた地方公共団体,農業協同組合,漁業協同組合などや一定の要件を備える個人が郵政窓口事務を行うために設置するもので,利用者の利便と郵政事業の経済的運営を企図して設けられたものである。簡易郵便局法が施行された1949年当初は農村,漁村あるいは山間の生活圏を対象とするものだったが,90年に簡易郵便局法を一部改正し,大都市にも開局されることになった。大都市型簡易郵便局と称されるものであるが,百貨店などに設置されシティ・ポストの愛称で親しまれているのがそれである。

 また郵便局は機能上,集配郵便局と無集配郵便局の区別がある。集配局は窓口機関としての機能のほか,郵便物の取集めおよび配達事務を取り扱い,この集配事務に付帯して取り集めた郵便物を区分し,他局に伝送し,または他局から自局にあてて送達してきた郵便物を受け取る事務をもあわせて行う。無集配郵便局はこうした集配事務を取り扱わない郵便局で,窓口機関だけの一般の無集配郵便局のほか,集中局,輸送郵便局,船内郵便局に分けることができる。集中局は,大都市における通常郵便物,小包郵便物等の専門処理施設で,大量の郵便物を機械により効率的に区分処理する。輸送郵便局は,郵便物の運送事務を取り扱う。船内郵便局は,外国航路の船舶内に設けられ,船内での郵便窓口事務と相手国への郵便物の輸送などを行う。なお,郵便輸送を効率的に行うため,県庁所在地の中央郵便局,あるいは地域の交通の拠点といった郵便局から101局を選んで,その地域の郵便物の取扱いの中心局とし,これを地域区分局と呼んでいる。このほか,一年のうちある期間だけ開局する定期開設局や,臨時出張所と称して博覧会場とか海水浴場その他多数の人々が集合する場所に臨時に出張して記念切手を売りさばいたり,記念日付印を押したり,その他郵便の取扱いをして公衆サービスを行うものもある。これらのうち窓口の付いた自動車を用いて行うものを移動郵便局という。

 2004年3月末で全国に約2万4700ある郵便局(うち約1万9000が特定郵便局)は,郵政省から2003年4月発足した日本郵政公社に引き継がれ,さらに郵政民営化に伴って2007年10月から日本郵政グループの郵便局株式会社に引き継がれた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「郵便局」の意味・わかりやすい解説

郵便局【ゆうびんきょく】

郵政省の地方機関の一つであったが,中央省庁等改革基本法により2001年から郵政事業庁,2003年には日本郵政公社に属し,2007年10月からは株式会社となった。郵便郵便貯金簡易生命保険などの現業事務を取り扱う。普通郵便局と特定郵便局の2種類がある。いずれも,郵便の集配事務を扱うかどうかで集配局と無集配局に分かれる。大都市における大型通常郵便物や小包郵便物等を専門に取り扱う集中局,外国航路の船舶内郵便局も普通局の一種。このほか,簡易郵便局法に基づき地方公共団体などが日本郵政公社の委託を受けて郵便局の窓口事務を行う簡易郵便局がある。2005年10月に郵政民営化関連6法が成立し,2007年10月には金融サービス,保険業務などが別会社に分離され,郵便業務を管理する郵便局株式会社と郵便事業株式会社が新設された。しかし,民主党,社民党,国民新党の三党は,2009年8月の衆議院総選挙で,共通政策として郵政民営化の抜本的な見直しを掲げ,政権交代を果たして発足した三党連立による鳩山由紀夫内閣で,国民新党の亀井静香が郵政・金融担当大臣として入閣。民営化見直しの積極推進を表明した。具体的な郵便事業会社の経営像は依然として曖昧である。
→関連項目郵政省

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「郵便局」の意味・わかりやすい解説

郵便局
ゆうびんきょく

日本郵便株式会社法(平成17年法律100号)によって設置される,郵便窓口業務,銀行窓口業務および保険窓口業務を行なう営業所。旧郵政事業下では,普通郵便局と特定郵便局があり,別に簡易郵便局が全国に設置されていた。2007年の郵政民営化により,従来行なっていた郵便物の集配業務,郵便貯金などは別会社で取り扱うことになった。2012年施行の改正郵政民営化法で分社化による利便性の低下が見直され,郵便業務,貯金・保険のサービスを郵便局で一体的に提供することが義務づけられた。(→郵便

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の郵便局の言及

【王政復古】より

…王政復古期には922kmの運河が開かれた。通信については,1828年に3万7367の市町村のうち,郵便局の存在する市町村は1780にすぎなかったということが,全体の状態を物語っているといえよう。
[社会の在り方]
 1821年において,フランスの各郡の中心の町をとってみると,その多くは人口1万以下で,それらの町の人口の合計は全人口の14.5%にしかならない。…

【郵便】より

…昭和30年代後半から高度経済成長の中で郵便物数が急増し,合理的な作業を進めるため66年,郵便物に定形,定形外の規格を設定し,68年7月1日から郵便番号制が実施された。郵便番号自動読取区分機など大型の機械類が登場し,機械化された郵便局が出現したのも,このころである。81年7月に広告つきはがきが発売され,また84年10月から電子郵便のサービスが開始され,技術革新等による新しい時代に対応する郵便の取扱いがはじまった。…

※「郵便局」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android