検察庁の最高機関であり、最高裁判所に対応して東京都に置かれる検察庁(検察庁法1条、2条)。最高検察庁の長として検事総長は庁務を掌理し、かつすべての検察庁の職員を指揮監督する。また、次長検事は最高検察庁に属し、検事総長を補佐し、検事総長に事故のあるとき、または検事総長が欠けたときは、その職務を行う(同法7条)。最高検察庁の組織は、事務局、総務部、刑事部、公安部、公判部、裁判員公判部および監察室からなる。事務局には、総務課および会計課が置かれ、職員の勤務時間や健康管理に関する事務、人事・給与に関する事務、文書の受理・発送に関する事務、予算の執行や物品・国有財産の管理、現金等の出納・保管に関する事務等を所管している。総務部には、企画調査課、検務課および情報システム管理室が置かれ、検察庁の広報に関する事務、研修計画の立案、検察官および検察事務官の指導・育成に関する事務、行政文書・個人情報の開示等情報の管理に関する事務、被害者の保護・支援に関する事務、上告審係属事件にかかる事件・令状事務、証拠品の管理、裁判の執行に関する事務等を所管している。刑事部には刑事事務課が置かれ、一般刑事事件、少年関係事件、交通関係事件、官紀関係事件、選挙関係事件、風紀関係事件等を所管している。公安部には公安事務課が置かれ、テロ・ゲリラ等による犯罪、賃金不払いや労働災害等による犯罪、外国人による犯罪、組織犯罪、薬物犯罪、環境犯罪等を所管し、全国各地で発生するこれらの事件の捜査・処理および公判遂行の指導にあたっている。公判部には公判事務課が置かれ、最高裁に係属中の事件の公判立会いや上告審の運営に関する事項を所管するほか、公判への被害者参加に関する事項の企画・立案や全国の検察官の公判遂行の指導等にあたっている。裁判員公判部は、2008年(平成20)に臨時に編成された部であり、裁判員裁判の運営一般を所管するほか、裁判員裁判において検察官が、わかりやすく、迅速で的確な主張・立証活動を行うための基本方針を策定し、裁判員裁判対象事件の捜査および公判の遂行の支援を図るために、関係部局と調整を行うとともに、全国の検察官等の指導にあたっている。なお、監察室は、検察庁における予算の執行ならびに職員の服務および倫理についての監察に関すること等を所管している(検察庁事務章程別表第2、第3、第6等参照)。
[内田一郎・田口守一]
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[現在の検察制度]
検察庁法によると,検察官は,検事総長,次長検事,検事長,検事および副検事の総称である。検察官の行う事務を統括する官署が検察庁であり,裁判所の組織・配置に対応して,最高検察庁,高等検察庁(東京,大阪,名古屋,札幌,仙台,広島,高松,福岡),地方検察庁(都道府県庁所在地のほか旭川,釧路,函館の50庁),区検察庁(438庁)が置かれている(1997年4月現在)。 検察官はいずれかの検察庁に属する。…
※「最高検察庁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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