ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「朝倉摂」の意味・わかりやすい解説
朝倉摂
あさくらせつ
[没]2014.3.27. 東京,稲城
舞台美術家,画家。本名冨沢摂。女性舞台美術家の草分け的存在。彫刻家朝倉文夫の長女。父の方針で,小学校卒業後は学校教育を受けず,家庭で才能教育を受けて育った。伊東深水に師事し日本画を学び,1953年に上村松園賞を受賞。やがて洋画に転じたが,1960年代から舞台美術を手がける。1970年に渡米し,ニューヨークで舞台美術を学ぶ。歌舞伎,前衛演劇,オペラ,舞踊,映画など幅広い分野で活躍し,大胆かつ新鮮な舞台づくりで知られた。スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』や夢の遊眠社『野獣降臨(のけものきたりて)』など多くの作品を手がけた。1980年篠田正浩監督の『夜叉ケ池』で日本アカデミー賞美術賞,1985年蜷川幸雄演出の『にごり江』で芸術祭賞,1989年朝日賞,1991年『薔薇の花束の秘密』などで紀伊国屋演劇賞,1995年『泣かないで』などで読売演劇大賞最優秀スタッフ賞などを受賞。1987年紫綬褒章を受章,2006年文化功労者に選ばれた。
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