あさ【朝】
※
万葉(8C後)一四・三四三〇「
しだの
浦を
阿佐(アサ)漕ぐ船はよしなしに漕ぐらめかもよよしこさるらめ」
※
竹取(9C末‐10C初)「我朝ごと夕
(ゆふ)ごとに見る竹の中におはするにて知りぬ」
[語誌]
古代にあっては夜の終わりの時間をさす「あした」とほぼ同じ意味であるが、
単独で使われることは少なく、他の語と複合して使われることが多かった。また、「朝さる・朝漕ぐ・朝立つ」など
助詞を介さず動詞と直結する例が多い。夕、
宵、夜に対応し、「あかとき」とも時間的に重なることがあるらしい。日の照る時間は「昼」で別のものであったが、のち「あさ」のさす時間帯もだんだん広がって、あるときは、
一昼夜を
暁、明、朝、昼、夕、暮、宵、夜に分けて
辰の時(おおよそ午前七~九時)をさすといわれたり、また、広く夜が明けてから
正午までの午前中の時間をさして使われることもある。
ちょう‐・する テウ‥【朝】
〘自サ変〙 てう・す 〘自サ変〙
① 朝廷に行き、拝謁する。朝廷に出仕する。参内(さんだい)する。
※玉葉‐文治二年(1186)二月九日「近日才卿無レ朝、通親等称可二弾指一」
② 朝廷に、みつぎものをする。天子にまみえ、品物を献上する。朝貢する。
※太平記(14C後)四「然らば君王呉越両国を并するのみに非ず、斉・楚・秦・趙も悉く朝(テウ)せずと云事有べからず」
③ 川の水が海に流れ注ぐ。海に流れ入る。朝宗する。
※文華秀麗集(818)下・河陽橋〈仲雄王〉「上承紫宸長拱宿、下送蒼海永朝潮」
④ 向かう。向かって行く。また、いたりつく。行きつく。達する。
※空華集(1359‐68頃)三・甲寅歳旦示衆「家家歳旦祝二唐堯一、寿酒春濃酌幾瓢、自笑山林難レ免レ俗、瓦甌瀹茗荅二年朝一」
※米欧回覧実記(1877)〈
久米邦武〉二「大小の煙突、参差として天に朝し」
ちょう テウ【朝】
〘名〙
① 夜が明けて明るくなったころ。あさ。あした。
② 朝廷。廟堂。
※海道記(1223頃)木瀬川より竹の下「朝の
重臣として万機の道に線を調き」 〔論語‐郷党〕
③ 一人の君主が統治する間。
御代(みよ)。御宇
(ぎょう)。また、その君主。「推古の朝」「ロマノフ朝」 〔
日葡辞書(1603‐04)〕
④ 天子の治めている国。君主政治の行なわれている国。
※観智院本三宝絵(984)序「唐にも此朝にも物の心を知人は加久曾(かくそ)云(いへ)る」
⑤ 人が集まるところ。にぎやかなところ。まちなか。市朝。
※
平家(13C前)六「今の代の民は、
朕が心をもって心とするが故に、かだましきもの朝にあって罪ををかす」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
ちょう〔テウ〕【朝】
1 あさ。あした。
2 朝廷。
3 一人の君主が国を治めている期間。また、ある系統の君主たちの治めていた期間。御代。御宇。「桓武の朝」「ビクトリア朝」
4 君主が治めている国。
「―の政をつかさどり」〈平家・二〉
5 人の集まる所。にぎやかな所。まちなか。
「かだましきも―にあって罪ををかす」〈平家・六〉
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朝
あさ
夜明け(太陽の中心が地平線下7度21分40秒のとき。日の出時刻の約35分前。江戸時代の明け六つ)のころからしばらくの間のこと。日最低気温は通常、朝、日の出の直前に観測される。天気予報では、日の出から午前9時ごろまでを朝としている。
[平塚和夫]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
朝 (アサ)
学名:Cannabis sativa
植物。クワ科の一年草,薬用植物
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
世界大百科事典内の朝の言及
【宮廷】より
…
【ヨーロッパ】
君侯とそれを取り巻く廷臣たちの集団が宮廷であるが,歴史上宮廷は,政治的・文化的にしばしば重要な役割を演じた。すでに中世初期カロリング朝(752‐987)において,カール大帝の宮廷が学芸復興に大きく貢献したことはよく知られている。大帝はアーヘンの宮廷に,イギリスからアルクインを招くなどして,いわゆるカロリング・ルネサンスの拠点としたのであった。…
※「朝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報