木食応其(読み)モクジキオウゴ

デジタル大辞泉 「木食応其」の意味・読み・例文・類語

もくじき‐おうご【木食応其/木喰応其】

[1536~1608]安土桃山時代真言宗の僧。近江おうみの人。あざな順良。初め武士であったが、高野山で出家し、木の実を食して肉・野菜米穀を常用しない木食戒を修行豊臣秀吉の高野山攻略の際に和議を結び、その帰依を受けて高野山を再興した。連歌にもすぐれ、著「無言抄」がある。

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精選版 日本国語大辞典 「木食応其」の意味・読み・例文・類語

もくじき‐おうご【木食応其】

  1. 安土桃山時代の真言宗の僧。木食は世称。応其は諱(いみな)。字は順良。興山上人ともいわれた。はじめ佐々木氏、越智氏に仕えた武士で、主家の没落後三七歳で出家して高野山にのぼった。天正一三年(一五八五)豊臣秀吉の高野山攻略を和議を結んで中止させ、またその帰依を受けた。高野山の興山寺・青巖寺の開山。出家してからは、木の実と果物以外は食べなかったところから木食上人といわれた。天文五~慶長一三年(一五三六‐一六〇八

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改訂新版 世界大百科事典 「木食応其」の意味・わかりやすい解説

木食応其 (もくじきおうご)
生没年:1536-1608(天文5-慶長13)

近世初頭の僧。興山上人。もと近江出身の武士。1572年(元亀3)高野山で出家し客僧となり,木食苦行して小野,広沢の2法流を受け,また仁和寺任助親王の室に入って阿闍梨位(あじやりい)を得た。85年(天正13)豊臣秀吉と高野山金剛峯寺との間を斡旋して豊臣政権下における高野山の地位を安泰に導き,91年の検地に際し非法が発覚した際にもとりなした。秀吉が深く信任して,“高野の木食”ではなく,木食の高野であると称したことは有名。応其はみずから97の寺社建立したと称しているほどこの面の手腕に富み,高野山金堂の修復をはじめ,1586年東山方広寺の造営,高野山に,90年興山寺,93年(文禄2)青巌寺を建立し両寺の住持となり,97年(慶長2)高野山の大塔を再造した。しかし彼の真面目は,戦争の終結に努力するという博愛の行為にあったといわれる。島津氏の降伏,富田信高の津開城,京極高次の大津開城などはすべて応其の尽力によるものであったが,このことが徳川氏の誤解を招くところとなり,遺跡を弟子の勢誉に譲り,近江飯導寺に隠棲してそのまま卒した。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「木食応其」の解説

木食応其
もくじきおうご

1536~1608.10.1

興山上人とも。織豊期の真言宗の僧。字は深覚。近江国生れ。もと武士で38歳で高野山に遁世,宝性院政遍から受戒。入山の折,十穀を断つ木食の修行を発願(ほつがん)。1585年(天正13)豊臣秀吉の高野山攻めに際し,和平の議に臨む。のち秀吉は高野山に金堂・大塔を建立し,応其のために高野山の再興にあたった。応其も秀吉の方広寺造営に協力し,87年の島津氏との和睦の折衝にも努めた。晩年,近江国飯道寺に隠遁。

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旺文社日本史事典 三訂版 「木食応其」の解説

木食応其
もくじきおうご

1536〜1608
安土桃山時代の真言宗の僧
近江(滋賀県)の人。武士出身。1573年高野山で入道し,米麦飯を食さず仏道に励む木食修行を行う。'85年豊臣秀吉の高野山攻めに際して和議にあたり,また秀吉の方広寺建立に協力するなどして,秀吉の信任を得た。文人として有名で,里村紹巴 (じようは) に連歌を学んだ。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「木食応其」の解説

木食応其 もくじき-おうご

応其(おうご)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「木食応其」の意味・わかりやすい解説

木食応其
もくじきおうご

応其

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世界大百科事典(旧版)内の木食応其の言及

【橋本[市]】より

…隅田荘荘官隅田氏は中世には武士団として勢力を伸ばしたが,その氏神とされたのが,人物画像鏡(国宝)で著名な隅田八幡宮である。橋本は天正年間(1573‐92)後期に高野山の木食応其(もくじきおうご)が町場を開き,高野参詣の宿所としたのに始まる。応其は紀ノ川に130間の橋を架け,この地を橋本と名づけたという。…

※「木食応其」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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