様似(読み)さまに

日本大百科全書(ニッポニカ) 「様似」の意味・わかりやすい解説

様似(町)
さまに

北海道中南部、日高(ひだか)振興局管内の町。1952年(昭和27)町制施行。町名はアイヌ語に由来するといわれるが、諸説あって不明。町の東半は日高山脈が海に迫る。国道336号にJRバスが走り、襟裳(えりも)岬(えりも町)を経て広尾(ひろお)(広尾町)と結ぶ。JR日高本線の様似駅があり同線の終着駅とされていたが、2021年(令和3)4月、鵡川(むかわ)―様似間の廃止に伴い廃駅となった。根室、千島への海路要衝として、19世紀初めには幕府の官寺等澍院(とうじゅいん)が置かれ、日高一円のアイヌの教護と在住和人の管理にあたった。早くから漁業で開け、陸繋島(りくけいとう)のエンルム岬を利用した様似漁港を中心に、サケコンブなどの水揚げが多い。ほかに水稲酪農軽種馬(競走馬)生産などの農業と、かんらん岩採掘やマンガン鉄の製造が行われる。アポイ岳高山植物群落(国指定特別天然記念物)、幌満ゴヨウマツ自生地(ほろまんごようまつじせいち)(国指定天然記念物)は日高山脈襟裳国定公園の一部であり、観光開発にも力を注いでいる。アポイ岳は2015年(平成27)ユネスコ世界ジオパークに加盟。面積364.30平方キロメートル、人口4043(2020)。

[柏村一郎]

『『様似町史』(1962・様似町)』


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改訂新版 世界大百科事典 「様似」の意味・わかりやすい解説

様似[町] (さまに)

北海道南部,日高支庁様似郡の町。人口5114(2010)。太平洋に面し,日高山脈とそれに連なる丘陵が町域の大部分を占める。JR日高本線の終点にあたり,国道336号線が海岸沿いに走る。1799年(寛政11)幕府支配の会所が置かれ,1804年(文化1)幕府はアイヌ教化と在住和人のために蝦夷三官寺の一つ等澍院(とうじゆいん)を建立した。陸繫島エンルム岬に抱かれる湾入部が様似発祥の地で,ここに築かれた様似漁港を中心に市街地が開け,1937年日高本線が開通して様似川の沖積地に駅を中心とする新市街地が発達した。サケ,マス,カニ,ツブ,カレイなどの水揚げが多く,日高コンブの主産地として知られる。製材などの工場が立地し,競走馬の育成が伸長している。襟裳道立自然公園の入口に当たり,アポイ岳(810m)の高山植物群落は特別天然記念物に指定されている。
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百科事典マイペディア 「様似」の意味・わかりやすい解説

様似[町]【さまに】

北海道中南部,様似郡の町。日高本線の終点。東は日高山脈南端部で,南は太平洋に面する。古くからの漁村で,大量のコンブがとれる。他に,サケ,マス,カレイを産し,農業は水稲,酪農,軽種馬が主体。アポイ岳高山植物群落(特別天然記念物)がある。東日本大震災で,町内において被害が発生。364.30km2。5114人(2010)。
→関連項目アポイ岳

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