武雄温泉(読み)たけおおんせん

日本歴史地名大系 「武雄温泉」の解説

武雄温泉
たけおおんせん

[現在地名]武雄市武雄町武雄

武雄市の中央部標高九〇メートルのさくら蓬莱ほうらい山)南麓にある。

肥前風土記」の杵島郡に「郡西有湯泉出之」とあり、これが現在の武雄温泉である。この温泉の発見には白鷺にちなむ二つの伝説がある。

一つは、神功皇后が応神天皇出産後武雄にきた際、桜山で白鷺が岩間から流れ出る水に怪我をした脚を浸していた。その場に行ってみると、湯であった。皇后が刀の小柄で岩の割れ目をこじあけたところ、どっと湯が流れ出した。そこで柄崎つかさきの湯と名づけたという。もう一つは、米守という水田見回りの役人が、桜山の茂みの上を数羽の白鷺が円を描いて飛んでいるのを不思議に思い、行ってみると、一羽の白鷺が流れに脚を浸しており、湯気が上がっていた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「武雄温泉」の意味・わかりやすい解説

武雄温泉
たけおおんせん

佐賀県南西部の武雄市にある温泉。蓬莱山(ほうらいざん)南東麓に位置し、泉質は単純温泉である。古くは柄崎温泉(つかざきおんせん)の名で知られる。内臓、神経系諸疾患などによいとされ、また肌を美しくする美人湯で親しまれる。温泉場入口の朱塗りの楼門(国指定重要文化財)は当温泉のシンボル。また、資料館となっている武雄温泉新館も国指定重要文化財。『肥前国風土記(ひぜんのくにふどき)』の杵島(きしま)郡の条に記される温泉は当温泉とされ、また、近世に長崎街道を東上したケンペルシーボルトも紀行文に記している。桜やツツジ有田(ありた)陶器市(いち)などの4、5月の季節に温泉客が多い。溝ノ上地区の保養村は、新しい泉源活用である。JR佐世保(させぼ)線武雄温泉駅下車、徒歩10分。

[川崎 茂]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「武雄温泉」の意味・わかりやすい解説

武雄温泉
たけおおんせん

佐賀県南西部,武雄市の蓬莱山麓にある温泉。古くから知られ,『肥前国風土記』に「柄崎の湯」と記されている。泉質はアルカリ性炭酸泉。泉温は 46~51℃。疲労回復,胃腸病などに効能があるとされる。観光地的色彩の強い温泉で,旅館数も多く,共同浴場を中心に温泉街が形成されている。温泉の入口には朱塗りの楼門があり,日本の温泉地としては特異な景観を呈し,新館とともに国の重要文化財に指定されている。近くに桜山公園御船山,御船ヶ丘梅林がある。西海国立公園への観光の中継地でもある。

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デジタル大辞泉プラス 「武雄温泉」の解説

武雄温泉

佐賀県武雄市、蓬莱山南東麓にある温泉。「肥前国風土記」に記述のある温泉が当温泉といわれ、古い歴史を持つ。温泉場入口にある朱塗りの楼門が有名。楼門は大正時代初期に建てられた武雄温泉新館とともに国の重要文化財に指定されている。

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