社会主義労働運動内部で共産主義、マルクス・レーニン主義に強く反対する社会民主主義の一種で、社会主義の世界観の基礎として理想主義的ヒューマニズムを掲げる。
第二次世界大戦後、共産主義をファシズムと同種とみる全体主義論が西欧先進諸国の社会民主主義者の間に受容され、冷戦の激化とともに共産主義に対してますます民主主義が強調された。その結果、「社会主義は民主主義によってのみ実現され、そして民主主義も社会主義によってのみ達成される」とする民主社会主義がイギリス労働党やドイツ社会民主党によって唱道された。そして1951年、両党が中心となって開催された社会主義インターナショナル第1回大会で、民主社会主義は同インターの綱領として全会一致で承認された。そして59年、ドイツ社会民主党はバート・ゴーデスベルク綱領を採択して、マルクス主義と絶縁し、民主社会主義を標榜(ひょうぼう)した。同党は国有化や経済の中央集権的計画化に反対し、「可能な限り競争を、必要な限度内の計画化を!」をスローガンに市場経済原理を承認したうえで、経営への労働者の参加を通じて公正な経済秩序の確立を主張し、1969年に西ドイツにおいて政権を掌握後、この民主社会主義の実験に着手した。ドイツ社会民主党は、その後の高度経済成長の行き詰まり、エコロジー運動や反核平和運動の台頭、東西ドイツの統一などの社会変化のなかで、長期間政権から離脱していた時期があったが、民主社会主義の指導的政党として、ヨーロッパの国際政治の舞台において、一定の影響力を保っている。日本では民主社会主義を標榜する政党は民社党であったが、同党が1994年(平成6)に解党して以降は、末期の日本社会党や96年に発足した社会民主党にその傾向がみられる程度である。
[安 世舟]
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[現代の社会民主主義]
第1次大戦中に事実上崩壊した第二インターのうち非マルクス=レーニン主義的な潮流に属する政党は,1923年に社会主義労働者インターを結成し,さらに第2次大戦後は国際社会主義者会議(COMISCO(コミスコ))を経て51年に社会主義インターナショナルを創設した。第2次大戦後の社会民主主義の新たな特徴は,かつての非共産主義的立場という消極的なものとは異なって,みずからの理論に〈民主社会主義〉という積極的意義づけを与えようとしたことにある。民主社会主義はマルクス主義との決別を宣言し,さらに共産主義との相違についても,以前のように単なる手段だけでなく,社会主義の目標においてもソ連型とは異なる構想を打ち出している。…
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