水入(読み)みずいり

精選版 日本国語大辞典 「水入」の意味・読み・例文・類語

みず‐いり みづ‥【水入】

〘名〙
① 水がはいっていること。水がはいること。また、そのもの。
相撲で、取り組んで相当時間が経過しても勝負がつかないとき、行司勝負審判委員の許しを得て勝負を一時中止し力士に休養を与え力水をつけさせること。水。
③ 船が水上にあるとき、その船底の部分が水面下に没していること。また、水没している部分。喫水(きっすい)。〔帆船造作寸法書(1877頃)〕
歌舞伎で、役者舞台本物の水に浸って見せるもの。「助六由縁江戸桜」で助六用水桶につかる場で知られる。
※こしかたの記(1961)〈鏑木清方〉少年時に見た芝居団十郎の助六は〈略〉とかく話題になる水入がこの時も前興行には出なくて」

すいり【水入】

〘名〙 (「水入(すいいり)」の変化した語)
水中にもぐること。潜水
※俳諧・誹諧発句帳(1633)秋「雲の浪をくぐるは月のすいり哉〈幸秋〉」
※浄瑠璃・平家女護島(1719)四「海になれたる海士(あま)の業(わざ)、ずっと水練(スイリ)にすがたも見えず」
② 潜水を業とする人。また、潜水のとくいな人。潜水夫あま。〔羅葡日辞書(1595)〕
浮世草子好色五人女(1686)三「岩飛(いわとび)とて水入(スイリ)の男をひそかに二人やとひて」

みず‐いれ みづ‥【水入】

〘名〙 硯にさす水を入れておくための、金属または陶製の小さな器。机上のすわりが良いので、古くは布袋(ほてい)の像の形に作ることが多かった。水滴。
※兵範記‐仁安三年(1168)七月一六日「置硯 朴筥例作硯具水入、小刀墨用意」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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